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大阪大学 1989年度 前期日程 第2次学力試験文系数学 第1問

座標平面上において,
原点Oを中心とする角θ(ただし0<θ<π)の回転を表す1次変換f
ベクトルaが与えられているとする.

(1) f(b)+a=bとなる
ベクトルbが存在することを示せ.

(2) さらに,すべてのベクトルpに対して
f(p)+ab=pbが成り立つことを示せ.

難易度4/ 10計算量3/ 10目安12

ベクトル 回転・拡大、存在証明、図形的解釈

方針

(1) は、条件を bf(b)=a と書き換え、If に当たる一次変換がどのベクトルにも対応できることを示す。回転角が 0<θ<π なので 1 だけ動かない方向はなく、行列式 2(1cosθ) が正になる。(2)は(1)で得た a=bf(b) を代入し、左辺の中身を f(pb) に直す。回転は長さを保つため、ただちに等式が従う。

解答

(1)
求める条件は f(b)+a=b である。これは bf(b)=a と同じである。したがって、bbf(b) で任意の a が得られることを示せばよい。

座標を取ると、角 θ の回転 f(cosθsinθsinθcosθ)で表される。したがって bf(b) を表す行列は(1cosθsinθsinθ1cosθ)である。この行列式は(1cosθ)2+sin2θ=12cosθ+cos2θ+sin2θ=2(1cosθ)である。0<θ<π より cosθ<1 だから 2(1cosθ)>0 である。

よってこの一次変換は、任意の a に対して bf(b)=a を満たす b をただ1つ定める。したがって、条件を満たす b は存在する。

(2)
(1)で得た b について a=bf(b) である。したがって任意の p に対してf(p)+ab=f(p)+bf(b)b=f(p)f(b)=f(pb)である。回転は2点間の長さを変えないからf(pb)=pbである。よってf(p)+ab=pbが成り立つ。

別解。幾何的には、回転 f の後に a だけ平行に動かす操作は、ある点 b を中心とする同じ角 θ の回転である。(1)はその中心の存在を行列式で示したものであり、(2)は中心からの距離が回転で保たれることを述べている。

総評

回転と平行移動を、ある点を中心とする回転として読み替える問題で、12分程度が目安である。(1)では If に当たる行列の行列式が 2(1cosθ)>0 になることが決定的で、0<θ<π という条件をここで使う。(2)は式変形が中心で、a=bf(b) を代入して f(pb) まで整理できれば、回転が長さを保つことからすぐに終わる。

冊子PDFで見る阪大のベクトルの問題で問題集を作る

出典: 大阪大学 1989年度 前期 数学。問題文はHTML表示のために再入力・数式組版しています。