方針
(1) は、条件を b−f(b)=a と書き換え、I−f に当たる一次変換がどのベクトルにも対応できることを示す。回転角が 0<θ<π なので 1 だけ動かない方向はなく、行列式 2(1−cosθ) が正になる。(2)は(1)で得た a=b−f(b) を代入し、左辺の中身を f(p−b) に直す。回転は長さを保つため、ただちに等式が従う。
解答
(1)
求める条件は f(b)+a=b である。これは b−f(b)=a と同じである。したがって、b↦b−f(b) で任意の a が得られることを示せばよい。
座標を取ると、角 θ の回転 f は(cosθsinθ−sinθcosθ)で表される。したがって b−f(b) を表す行列は(1−cosθ−sinθsinθ1−cosθ)である。この行列式は(1−cosθ)2+sin2θ=1−2cosθ+cos2θ+sin2θ=2(1−cosθ)である。0<θ<π より cosθ<1 だから 2(1−cosθ)>0 である。
よってこの一次変換は、任意の a に対して b−f(b)=a を満たす b をただ1つ定める。したがって、条件を満たす b は存在する。
(2)
(1)で得た b について a=b−f(b) である。したがって任意の p に対してf(p)+a−b=f(p)+b−f(b)−b=f(p)−f(b)=f(p−b)である。回転は2点間の長さを変えないから∣f(p−b)∣=∣p−b∣である。よって∣f(p)+a−b∣=∣p−b∣が成り立つ。
別解。幾何的には、回転 f の後に a だけ平行に動かす操作は、ある点 b を中心とする同じ角 θ の回転である。(1)はその中心の存在を行列式で示したものであり、(2)は中心からの距離が回転で保たれることを述べている。
総評
回転と平行移動を、ある点を中心とする回転として読み替える問題で、12分程度が目安である。(1)では I−f に当たる行列の行列式が 2(1−cosθ)>0 になることが決定的で、0<θ<π という条件をここで使う。(2)は式変形が中心で、a=b−f(b) を代入して f(p−b) まで整理できれば、回転が長さを保つことからすぐに終わる。
冊子PDFで見る阪大のベクトルの問題で問題集を作る
出典: 大阪大学 1989年度 前期 数学。問題文はHTML表示のために再入力・数式組版しています。