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大阪大学 1989年度 前期日程 第2次学力試験理系数学 第1問

1次変換(xy)=(aa211)(xy)fと表す.
原点を通る直線lfによる像をf(l)とし,
lf(l)とが直交するとき,
lは“性質Pをもつ”ということにする.

(1) aがどのような範囲にあるとき,性質Pをもつlが存在するか.

(2) aがどのような値のとき,
性質Pをもつlが2本存在して,
それらのなす角がπ3になるか.

難易度6/ 10計算量5/ 10目安18

行列ベクトル 内積の利用判別式三角比の利用

方針

原点を通る直線の方向ベクトルを (1,t) と置き、移った直線の方向ベクトルと内積が 0 になる条件を作る。垂直な直線は存在しないので、この置き方で全てを扱える。直交条件は t2+(a1)t+a=0 となり、(1)はこの2次方程式の実数解の存在条件である。(2)は2解 t1,t2 に対して、直線のなす角の公式 tan2ϕ=(t2t1)2/(1+t1t2)2 を使い、解と係数の関係で a だけの方程式にする。

解答

原点を通る直線 l の方向ベクトルを (1,t) とする。垂直な直線は方向ベクトル (0,1) をもつが、このとき移った方向ベクトルは (a2,1) であり、内積は 1 なので直交しない。したがって (1,t) と置けば十分である。

この方向ベクトルは、一次変換 f によって (1,t)(a+(a2)t,1+t) へ移る。直線 l と移った直線が直交する条件は (1,t)(a+(a2)t,1+t)=0 である。すなわち a+(a2)t+t+t2=0 だから t2+(a1)t+a=0 である。

(1)
性質 P をもつ直線が存在するためには、この2次方程式が実数解をもてばよい。判別式は Δ=(a1)24a=a26a+1 である。したがって a26a+10 が必要十分条件である。これを解くと a322または3+22a である。

(2)
性質 P をもつ直線が2本あるとき、上の2次方程式は異なる2つの実数解 t1,t2 をもつ。この2本の直線の傾きが t1,t2 である。解と係数の関係より t1+t2=1a,t1t2=a である。また (t2t1)2=(t1+t2)24t1t2=a26a+1 である。

2直線のなす角を ϕ とすると tan2ϕ=(t2t1)2(1+t1t2)2 である。ここで ϕ=π/3 なので tan2ϕ=3 であり、a26a+1(1+a)2=3 を得る。なお a=1 のときは2直線が直交し、なす角は π/2 なので、今回の条件には当たらない。

上の式を整理すると a26a+1=3(a+1)2 すなわち a2+6a+1=0 である。したがって a=3±22 である。これらの値では判別式 a26a+1 は正であり、性質 P をもつ直線は確かに2本存在する。

よって求める値は a=3+22,a=322 である。

総評

行列で移った直線との直交条件を傾きで解く問題で、18分程度が目安である。方向ベクトル (1,t) を使う前に、垂直な直線が条件を満たさないことを確認すると抜けがない。(1)は2次方程式の判別式だけで決まる。(2)では、2本存在することと角が π/3 であることを同時に満たす必要があり、解と係数の関係で t1,t2 を消去するのが最短である。1+t1t2=0 の場合はなす角が直角になるため、今回の条件から外れる点も押さえておきたい。

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出典: 大阪大学 1989年度 前期 数学。問題文はHTML表示のために再入力・数式組版しています。