方針
(1) は成分を直接計算し, の各成分が と一致することを示す。(2)は(1)を使って, と表せるなら次の指数でも同じ形で表せることを帰納法で示す。(3)では , により係数 が で共通になる点を使う。さらに , から を帰納的に示し, に帰着する。
解答
(1) とする。直接計算するとである。一方,, よりである。したがって が成り立つ。
(2) のときは,(1)より であるから,, とすればよい。
ある で と表せたとする。両辺に をかけると である。(1)を代入して となる。よって とおけば, の場合も同じ形で表せる。数学的帰納法により,すべての についてそのような数 が存在する。
(3)
共通の値を とおく。(2)の作り方を見ると,係数は から始まり, で定まる。したがって, に対しても に対しても,同じ を使うことができる。
ここで , である。初めに である。もし , なら である。よって帰納的に,すべての で が成り立つ。
いま となる がある。上の表示を に用いると である。両式の差を取ると である。左辺は0であり,しかも だから となる。したがって である。
別解
解法2
方針
を使って の係数を明示的な数列 で表す。漸化式を組合せ数の和として解き、 のもとで係数が正であることを式から直接確認して を比較する。
解答
(1)
成分計算によりしたがって である。
(2)
とし、とおく。このときが成り立つ。実際、 では明らかであり、両辺に を掛けて を使えば次の指数でも成立する。よって問題の記号ではとすればよい。
(3)
この数列はと表せる。右辺が同じ漸化式と初期値を満たすことは、二項係数の関係から確かめられる。 なら、すべての項は非負で、 の項 は正だから では が共通なので同じ を使える。したがって仮定より左辺は0であり、 だから 、すなわち である。
総評
2次正方行列の計算を, と単位行列 の一次結合へ落とし込む証明問題である。目安時間は18分。(1) は成分計算を省くと説得力が落ちるので,対角成分で が効いていることを明示したい。(2) は帰納法の更新式まで書けば十分である。(3) では係数 が だけで決まり, で共通になる点が要点である。さらに を示してから割る,という順序を守ると論理の穴が残らない。