Evolton

大阪大学 2006年度 前期日程 第2次学力試験理系数学 第3問

xyを変数とする.

(1) nを自然数とする.次の等式が成り立つように定数abを定めよ.n+1y(y+1)(y+n)(y+n+1)=ay(y+1)(y+n)+b(y+1)(y+2)(y+n+1)(2) すべての自然数nについて,次の等式が成り立つことを証明せよ.n!x(x+1)(x+n)=r=0n(1)rnCrx+r

難易度6/ 10計算量6/ 10目安25

数と式数列 部分分数分解、数学的帰納法、二項定理

方針

(1) は両辺に共通分母を掛け,y の係数と定数項を比較して a,b を決める。(2)は(1)を利用した数学的帰納法で示す。n の式と,xx+1 に置き換えた式の差を作ると,左辺が (n+1)!/[x(x+1)(x+n+1)] になり,右辺の係数はパスカルの関係で n+1Cr にまとまる。

解答

(1)
両辺に y(y+1)(y+n)(y+n+1) を掛けると n+1=a(y+n+1)+by である。右辺を整理すると (a+b)y+a(n+1) であるから,恒等式として成り立つためには a+b=0,a(n+1)=n+1 であればよい。n は自然数なので n+10 であり,a=1,b=1 である。

(2)
数学的帰納法で示す。n=1 のとき,求める等式は 1x(x+1)=1x1x+1 であり,成り立つ。

ある自然数 n についてn!x(x+1)(x+n)=r=0n(1)rnCrx+rが成り立つと仮定する。この式で xx+1 に置き換えるとn!(x+1)(x+2)(x+n+1)=r=0n(1)rnCrx+1+rである。

(1) の結果を y=x に適用するとn+1x(x+1)(x+n)(x+n+1)=1x(x+1)(x+n)1(x+1)(x+2)(x+n+1)である。両辺に n! を掛けると(n+1)!x(x+1)(x+n+1)=n!x(x+1)(x+n)n!(x+1)(x+2)(x+n+1).ここに帰納法の仮定と,その x+1 版を代入する。右辺はr=0n(1)rnCrx+rr=0n(1)rnCrx+1+rである。第2の和で添字を r+1 から r にずらすと1x+r=1n(1)rnCr+nCr1x+r+(1)n+11x+n+1となる。パスカルの関係 nCr+nCr1=n+1Cr より,これは r=0n+1(1)rn+1Crx+r である。したがって n+1 でも成り立つ。よって数学的帰納法により,すべての自然数 n についてn!x(x+1)(x+n)=r=0n(1)rnCrx+rが成り立つ。

別解

解法2

方針

(1) は解法1と同じである。(2)の両辺に共通分母を掛け,右辺を高々 n 次の多項式とみなす。x=0,1,,nn+1 点で値を調べると,毎回ただ1項だけが残って n! となる。高々 n 次の2多項式が n+1 点で一致することから恒等式を得る。

解答

(1) 解法1と同様に a=1, b=1 である。

(2)
多項式比較による別解
示したい等式の両辺に D=x(x+1)(x+n) を掛ける。右辺は r=0n(1)rnCrDx+r となる。これは x の高々 n 次式である。x=s s=0,1,,n を代入すると,和のうち r=s 以外の項は因子 x+s を含んで0になる。残る項は(1)snCsDx+sx=s=(1)snCs{(1)ss!(ns)!}=n!である。高々 n 次式が n+1 個の値 x=0,1,,n で定数 n! と一致するので,恒等的に n! に等しい。これで同じ等式が示される。

総評

部分分数分解と二項係数を結ぶ証明問題で,目安は25分程度。(1)の分解は(2)の帰納法で「隣り合う分母の差」を作るための準備である。帰納法では,第2の和の添字を1つずらした後,中央の係数が nCr+nCr1 になるところを省略しないこと。別解の多項式比較は見通しがよいが,代入点でどの項が消えるかを丁寧に書く必要がある。

冊子PDFで見る阪大の数と式の問題で問題集を作る

出典: 大阪大学 2006年度 前期 理系 数学。問題文はHTML表示のために再入力・数式組版しています。