方針
(1) は両辺に共通分母を掛け,y の係数と定数項を比較して a,b を決める。(2)は(1)を利用した数学的帰納法で示す。n の式と,x を x+1 に置き換えた式の差を作ると,左辺が (n+1)!/[x(x+1)⋯(x+n+1)] になり,右辺の係数はパスカルの関係で n+1Cr にまとまる。
解答
(1)
両辺に y(y+1)⋯(y+n)(y+n+1) を掛けると n+1=a(y+n+1)+by である。右辺を整理すると (a+b)y+a(n+1) であるから,恒等式として成り立つためには a+b=0,a(n+1)=n+1 であればよい。n は自然数なので n+1=0 であり,a=1,b=−1 である。
(2)
数学的帰納法で示す。n=1 のとき,求める等式は x(x+1)1=x1−x+11 であり,成り立つ。
ある自然数 n についてx(x+1)⋯(x+n)n!=r=0∑n(−1)rx+rnCrが成り立つと仮定する。この式で x を x+1 に置き換えると(x+1)(x+2)⋯(x+n+1)n!=r=0∑n(−1)rx+1+rnCrである。
(1) の結果を y=x に適用するとx(x+1)⋯(x+n)(x+n+1)n+1=x(x+1)⋯(x+n)1−(x+1)(x+2)⋯(x+n+1)1である。両辺に n! を掛けるとx(x+1)⋯(x+n+1)(n+1)!=x(x+1)⋯(x+n)n!−(x+1)(x+2)⋯(x+n+1)n!.ここに帰納法の仮定と,その x+1 版を代入する。右辺はr=0∑n(−1)rx+rnCr−r=0∑n(−1)rx+1+rnCrである。第2の和で添字を r+1 から r にずらすとx1+r=1∑n(−1)rx+rnCr+nCr−1+(−1)n+1x+n+11となる。パスカルの関係 nCr+nCr−1=n+1Cr より,これは r=0∑n+1(−1)rx+rn+1Cr である。したがって n+1 でも成り立つ。よって数学的帰納法により,すべての自然数 n についてx(x+1)⋯(x+n)n!=r=0∑n(−1)rx+rnCrが成り立つ。
別解
解法2
方針
(1) は解法1と同じである。(2)の両辺に共通分母を掛け,右辺を高々 n 次の多項式とみなす。x=0,−1,…,−n の n+1 点で値を調べると,毎回ただ1項だけが残って n! となる。高々 n 次の2多項式が n+1 点で一致することから恒等式を得る。
解答
(1) 解法1と同様に a=1, b=−1 である。
(2)
多項式比較による別解
示したい等式の両辺に D=x(x+1)⋯(x+n) を掛ける。右辺は r=0∑n(−1)rnCrx+rD となる。これは x の高々 n 次式である。x=−s s=0,1,…,n を代入すると,和のうち r=s 以外の項は因子 x+s を含んで0になる。残る項は(−1)snCsx+sDx=−s=(−1)snCs{(−1)ss!(n−s)!}=n!である。高々 n 次式が n+1 個の値 x=0,−1,…,−n で定数 n! と一致するので,恒等的に n! に等しい。これで同じ等式が示される。
総評
部分分数分解と二項係数を結ぶ証明問題で,目安は25分程度。(1)の分解は(2)の帰納法で「隣り合う分母の差」を作るための準備である。帰納法では,第2の和の添字を1つずらした後,中央の係数が nCr+nCr−1 になるところを省略しないこと。別解の多項式比較は見通しがよいが,代入点でどの項が消えるかを丁寧に書く必要がある。
冊子PDFで見る阪大の数と式の問題で問題集を作る
出典: 大阪大学 2006年度 前期 理系 数学。問題文はHTML表示のために再入力・数式組版しています。