方針
2つの漸化式を引き,差 dn=an−bn が公比 1−r−s の等比数列になることを使う.初期差は0でないため,極限0の必要十分条件は公比の絶対値が1未満であること.(2)では san+rbn が不変であることを直接確かめ,bn=an−dn と合わせて an を不変量と dn で表す.
解答
(1) 2つの漸化式を引くとan+1−bn+1=(1−r)an+rbn−san−(1−s)bn=(1−r−s)(an−bn).したがってan−bn=(1−r−s)n−1(α−β).α=β だから,この式が0に収束するための必要十分条件は∣1−r−s∣<1である.よって求める条件は0<r+s<2である.
(2) (1)の条件のもとでは r+s=0 である.またsan+1+rbn+1=s{(1−r)an+rbn}+r{san+(1−s)bn}=san+rbn.したがってsan+rbn=sα+rβは n によらず一定である.dn=an−bn とおくと bn=an−dn だから(r+s)an−rdn=sα+rβ.よってan=r+ssα+rβ+rdn.(1)より dn→0 なのでn→∞liman=r+ssα+rβ.
別解
解法2
方針
漸化式の行列の2つの固有方向 (1,1) と (r,−s) を使い,初期ベクトルをその和に分解する.各成分の一般項を直接書けば,差の収束条件と共通極限が同時に読める.
解答
(1)
漸化式の行列をM=(1−rsr1−s)とおく.M(11)=(11),M(r−s)=(1−r−s)(r−s)である.
an−bn→0 なら,後で得る条件から r+s=0 である.初期ベクトルは(αβ)=r+ssα+rβ(11)+r+sα−β(r−s)と分解できる.したがって(anbn)=r+ssα+rβ(11)+r+sα−β(1−r−s)n−1(r−s).特にan−bn=(α−β)(1−r−s)n−1である.α=β だから,これが0に収束するための必要十分条件は∣1−r−s∣<1すなわち0<r+s<2である.
(2)
この条件のもとでは (1−r−s)n−1→0 なので,一般項から直ちにn→∞liman=r+ssα+rβを得る.
総評
難度5,計算量4,目安時間15分.差 an−bn は公比 1−r−s の等比数列であり,α=β によって ∣1−r−s∣<1 が必要十分条件になる.共通極限を出すには差の収束だけでは足りず,不変量 san+rbn または2つの固有方向から一般項を決める必要がある.
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出典: 大阪大学 2009年度 後期 理系 数学(大学公式の問題PDF)。問題文はHTML表示のために再入力・数式組版しています。