方針
設問が数学的帰納法を指定しているので、まず n=1 を確認する。帰納段階では S(n+1)−S(n) と T(n+1)−T(n) をそれぞれ計算し、同じ差 2n+11−2n+21 になることを示す。特に T(n) と T(n+1) は分母の範囲がずれるので、消える項と残る項を明示して整理する。
解答
n=1 のとき S(1)=1−21=21,T(1)=1+11=21 である。したがって S(1)=T(1) が成り立つ。
次に、ある正の整数 n について S(n)=T(n) が成り立つと仮定する。このとき S(n+1)=p=1∑2n+2p(−1)p−1 であり、S(n) との差は最後に増えた2項だけなので S(n+1)−S(n)=2n+11−2n+21 である。
一方、T(n)=n+11+n+21+⋯+2n1 であり、T(n+1)=n+21+n+31+⋯+2n+11+2n+21 である。共通する n+21 から 2n1 までの項は差を取ると消えるから、T(n+1)−T(n)=−n+11+2n+11+2n+21=2n+11−(n+11−2n+21)=2n+11−2n+21となる。
したがって S(n+1)−S(n)=T(n+1)−T(n) である。帰納法の仮定 S(n)=T(n) を用いると、S(n+1)=S(n)+{S(n+1)−S(n)}=T(n)+{T(n+1)−T(n)}=T(n+1) となる。
以上より、数学的帰納法によって、すべての正の整数 n について S(n)=T(n) が成り立つ。
なお、確認として左辺を2項ずつまとめるとS(n)=(1−21)+(31−41)+⋯+(2n−11−2n1)であり、これは調和数を用いれば 1+21+⋯+2n1−2(21+41+⋯+2n1)、すなわち n+11+⋯+2n1 と一致する。ただし設問は帰納法を指定しているので、答案の中心は上の帰納法に置く。
帰納段階で増減する項
総評
帰納法の形を崩さず、差分計算を正確に行う問題で、目安時間は10分程度。S(n+1)−S(n) は最後の正負2項だけなので簡単だが、T(n+1)−T(n) では分母の始まりが n+2、終わりが 2n+2 に変わる。ここを省略すると符号を誤りやすい。直接和を変形する確認法もあるが、指定された「数学的帰納法」を満たすため、初期値、帰納法の仮定、帰納段階を明確に分けて書くことが重要である。
冊子PDFで見る阪大の数列の問題で問題集を作る
出典: 大阪大学 2005年度 前期 理系 数学。問題文はHTML表示のために再入力・数式組版しています。