Evolton

大阪大学 2005年度 前期日程 第2次学力試験(数学理系)理系数学 第2問

正の整数 n に対してS(n)=p=12n(1)p1p,T(n)=q=1n1n+qとおく.等式S(n)=T(n)(n=1,2,3,)が成り立つことを,数学的帰納法を用いて示せ.

難易度3/ 10計算量3/ 10目安10

数列論証・証明 数学的帰納法和の計算、計算整理

方針

設問が数学的帰納法を指定しているので、まず n=1 を確認する。帰納段階では S(n+1)S(n)T(n+1)T(n) をそれぞれ計算し、同じ差 12n+112n+2 になることを示す。特に T(n)T(n+1) は分母の範囲がずれるので、消える項と残る項を明示して整理する。

解答

n=1 のとき S(1)=112=12,T(1)=11+1=12 である。したがって S(1)=T(1) が成り立つ。

次に、ある正の整数 n について S(n)=T(n) が成り立つと仮定する。このとき S(n+1)=p=12n+2(1)p1p であり、S(n) との差は最後に増えた2項だけなので S(n+1)S(n)=12n+112n+2 である。

一方、T(n)=1n+1+1n+2++12n であり、T(n+1)=1n+2+1n+3++12n+1+12n+2 である。共通する 1n+2 から 12n までの項は差を取ると消えるから、T(n+1)T(n)=1n+1+12n+1+12n+2=12n+1(1n+112n+2)=12n+112n+2となる。

したがって S(n+1)S(n)=T(n+1)T(n) である。帰納法の仮定 S(n)=T(n) を用いると、S(n+1)=S(n)+{S(n+1)S(n)}=T(n)+{T(n+1)T(n)}=T(n+1) となる。

以上より、数学的帰納法によって、すべての正の整数 n について S(n)=T(n) が成り立つ。

なお、確認として左辺を2項ずつまとめるとS(n)=(112)+(1314)++(12n112n)であり、これは調和数を用いれば 1+12++12n2(12+14++12n)、すなわち 1n+1++12n と一致する。ただし設問は帰納法を指定しているので、答案の中心は上の帰納法に置く。

帰納段階で増減する項

総評

帰納法の形を崩さず、差分計算を正確に行う問題で、目安時間は10分程度。S(n+1)S(n) は最後の正負2項だけなので簡単だが、T(n+1)T(n) では分母の始まりが n+2、終わりが 2n+2 に変わる。ここを省略すると符号を誤りやすい。直接和を変形する確認法もあるが、指定された「数学的帰納法」を満たすため、初期値、帰納法の仮定、帰納段階を明確に分けて書くことが重要である。

冊子PDFで見る阪大の数列の問題で問題集を作る

出典: 大阪大学 2005年度 前期 理系 数学。問題文はHTML表示のために再入力・数式組版しています。