Evolton

東北大学 1982年度 前期日程 第2次学力試験理系数学 第1問

行列A=(abcd)(a,b,c,d は実数)A2=A を満たす。

(1) bc14 のとき、a,d の値を求めよ。

(2) さらに 0a+b+c+d<2 として、行列 A を求めよ。

難易度6/ 10計算量5/ 10目安20

行列 展開・因数分解、必要十分条件、範囲評価

方針

まず A2=A を成分ごとに比較し、特に bc=a(1a)=d(1d) を取り出す。実数 u について u(1u)14 であることから、bc14 は等号の場合しかあり得ない。後半は a=d=12bc=14 を条件 0a+b+c+d<2 に代入し、b+cbc から b,c を決める。

解答

(1) A=(abcd)について A2=A であるから、成分を比較すると a2+bc=a,ab+bd=b, ac+cd=c,bc+d2=d である。特に bc=aa2=a(1a),bc=dd2=d(1d) が成り立つ。

任意の実数 u について u(1u)=14(u12)214 であり、等号は u=12 のときだけである。ところが仮定より bc14 である。一方で bc=a(1a)14,bc=d(1d)14 だから、すべて等号でなければならない。よって bc=14,a=d=12. (2)

(1) よりA=(12bc12),bc=14である。

条件 0a+b+c+d<2a=d=12 を代入すると 01+b+c<2 すなわち 1b+c<1 である。

また bc=14>0 だから、b,c は同符号である。もし b,c がともに正なら、相加相乗の関係から b+c2bc=1 となり、b+c<1 に反する。したがって b,c はともに負である。このとき (b+c)2bc=1 より b+c1. 先ほどの条件 1b+c と合わせて b+c=1 である。

したがって b,ct2(b+c)t+bc=0 すなわち t2+t+14=0 の二つの解である。これは (t+12)2=0 だから b=c=12. よってA=(12121212)である。

別解

解法2(平方の恒等式で絞る)

方針

対角成分から得られる2本の平方完成で a と d を一度に決める。(2)では積 bc と和 b+c の範囲を平方の非負性と符号に結び付け、相加相乗の公式を直接使わずに b と c を決める。

解答

(1)
A2=A の対角成分からa2+bc=a,d2+bc=dを得る。したがって(a12)2+bc=14,(d12)2+bc=14.仮定 bc1/4 と平方の非負性を合わせると、両式で平方は0、かつ bc=1/4 でなければならない。よってa=d=12.(2)
条件は1b+c<1,bc=14となる。積が正なので b,c は同符号である。

もし正なら、(bc)20 より(b+c)24bc=1であり b+c1 となって上限に反する。したがって両方とも負である。同じ不等式から b+c1 だが、下限と合わせて b+c=1 である。さらに(bc)2=(b+c)24bc=11=0より b=c=1/2 を得る。ゆえにA=(12121212).

総評

難度は10段階で6、計算量は10段階で5程度。試験場ではおよそ30分を見込む。前半は A2=A の全成分を見る必要はあるが、決め手は対角成分から出る bc=a(1a)=d(1d) である。u(1u)14 を平方完成で示すと、仮定 bc14 が強い条件であることが明確になる。後半は b+c の範囲と bc の符号から b,c の符号を絞る問題で、相加相乗の関係を正負に応じて使い分けるのが要点である。

冊子PDFで見る東北大の行列の問題で問題集を作る

出典: 東北大学 1982年度 前期 数学(大学公式の問題PDF)。問題文はHTML表示のために再入力・数式組版しています。