方針
(1) は積を成分比較し、a2+b2=0 を使う。
(2) は行列の2成分を rcosθ,rsinθ と表し、積で角が加わることを直接確認する。
解答
(1) A=(ab−ba),X=(xy−yx)とおく。AX=O よりax−by=0,ay+bx=0.これらから(a2+b2)x=0,(a2+b2)y=0.A=O なので a2+b2>0 である。よって x=y=0、したがってX=O.(2)X=(rcosθrsinθ−rsinθrcosθ)(r≧0)とおく。加法定理を用いて積を計算するとX3=(r3cos3θr3sin3θ−r3sin3θr3cos3θ).条件よりr=1,3θ=2π+2kπ.異なる3解に対応する角はθ=6π,65π,23π.よってX=2321−2123,−2321−21−23,(0−110).
別解
解法2(複素数との対応)
方針
行列 (ab−ba) を複素数 a+bi に対応させる。
行列積が複素数の積に一致するので、零因子と3乗根の問題へ移す。
解答
対応(ab−ba)⟷a+biを考える。左辺の行列積は、右辺の複素数の積と成分ごとに一致する。
(1)
A に対応する複素数を α、X に対応する複素数を z とする。
A=O だから α=0 であり、αz=0なら z=0 である。よって X=O である。
(2)
右辺の行列は複素数 i に対応する。したがってz3=i.i=cos2π+isin2π であるから、3個の解はz=cos(6π+32kπ)+isin(6π+32kπ)(k=0,1,2).これらを対応する行列へ戻すと、解法1の3個の行列を得る。
総評
難度7、計算量6、目安16〜24分。原問題が明示する特別な形の行列は、実数の組 (a,b) または複素数 a+bi と同じ積の規則をもつ。
(1) は a2+b2>0、(2) は絶対値1と3個の角を漏れなく示すことが採点の中心である。
行列を直接計算する方法と複素数へ移す方法の2方向から3解を照合した。
冊子PDFで見る東北大の行列の問題で問題集を作る
出典: 東北大学 1981年度 前期 数学(大学公式の問題PDF)。問題文はHTML表示のために再入力・数式組版しています。