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東北大学 1986年度 前期日程 第2次学力試験文系数学 第3問

行列A=(1212ab)について,
A3=Aが成り立つようにabを定めよ.

難易度6/ 10計算量5/ 10目安28

行列 恒等式比較、計算整理

方針

直接 A3 を計算して A3A の各成分を0にする。まず上段2成分と下段右成分から方程式を取り、4a(b+1)=3a0 が分かるので、共通に現れる式を整理して ab を絞る。計算だけで終わらせず、得られた候補をすべて元の条件に戻して確認する。

解答

A=(1212ab)とする。計算するとA3A=(4ab+4a382a+4b2+2b38a(2a+4b2+2b3)44ab+a+4b34b4)である。したがって A3=A が成り立つためには 4ab+4a3=0 2a+4b2+2b3=0 4ab+a+4b34b=0 が必要であり、これらが成り立てば十分でもある。

第1式から 4a(b+1)=3 なので、a0 である。また第2式から 2a=34b22b である。

第3式から第1式の一部を利用するため、4ab+4a3=04ab=34a と書く。これを第3式に代入すると (34a)+a+4b34b=0 すなわち 33a+4b34b=0 である。よって a=1+43b343b を得る。

一方、第2式からは a=34b22b2 である。これらを等しいとして整理すると 2(1+43b343b)=34b22b である。両辺を3倍して整理すると 8b3+12b22b3=0 となる。この左辺は (2b1)(2b+1)(2b+3) と因数分解できる。したがって b=12,b=12,b=32 である。

第1式 4a(b+1)=3 から、それぞれ b=12 のとき a=12, b=12 のとき a=32, b=32 のとき a=32 となる。よって求める組は(a,b)=(12,12),(32,12),(32,32)である。

別解

解法2(2次行列の恒等式)

方針

任意の2次行列について直接確かめられる A2(trA)A+(detA)E=O を用いる。A3=A と比較し、非対角成分が0でないことから係数を分岐して全候補を得る。

解答

2次行列A=(1/21/2ab)について、直接乗算すればA2tA+dE=O,t=12+b,d=ba2が成り立つ。これに A を掛けるとA3=(t2d)AtdE.したがって A3=A(t2d1)AtdE=Oと同値である。A の右上成分は 1/20 だからt2d1=0,td=0.t=0 なら b=1/2、さらに d=1 より a=3/2 である。

d=0 なら a=b、かつ t2=1 であるからb+12=±1.よって (a,b)=(1/2,1/2),(3/2,3/2) を得る。以上より(a,b)=(12,12),(32,12),(32,32).いずれも上の2条件を満たすため十分である。

総評

行列条件A3=Aから実数パラメータを全て求める問題で、目安は28分。成分計算では式の脱落、恒等式解法ではt=0d=0の分岐漏れに注意する。3候補を元の条件へ戻し、必要十分性まで確認して完答となる。

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出典: 東北大学 1986年度 前期 数学。問題文はHTML表示のために再入力・数式組版しています。