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東北大学 1984年度 前期日程 第2次学力試験理系数学 第5問

nを自然数とし,f(x)=∑k=12n∣x−3k∣とする.

(1) xが実数全体を動くとき,f(x)の値を最小にするような実数xの集合を求めよ.

(2) f(x)の最小値をanとするとき,
anおよびlim⁡n→∞an9nを求めよ.

難易度5/ 10計算量4/ 10目安18分

関数、数列 絶対値の処理、範囲評価、和の計算、極限計算

方針

絶対値の和は、点 3,32,…,32n からの距離の和である。偶数個の点に対する距離和は中央の2点の間で最小になることを、左右の点数または対にして確認する。(2) は 3n≦x≦3n+1 で左に n 個、右に n 個あることを使い、x の項が消える形で等比数列の和を計算する。

解答

(1) 3<32<⋯<32n であり、f(x) はこれら 2n 個の点から x までの距離の和である。 x が区間 3j<x<3j+1 にあるとき、左側にある点の個数を j、右側にある点の個数を 2n−j と見ると、x を少し右に動かしたとき、左側の距離は j 個増え、右側の距離は 2n−j 個減る。したがって j<n では右に動かすと f(x) は減少し、j>n では右に動かすと f(x) は増加する。
中央である 3n≦x≦3n+1 では、左側と右側の個数がどちらも n 個になるため、距離和は一定で最小となる。

よって、f(x) の値を最小にする x の集合は [3n,3n+1] である。

(2) 3n≦x≦3n+1 とする。このとき f(x)=∑k=1n(x−3k)+∑k=n+12n(3k−x) である。左側、右側ともに n 個ずつあるので、x の項は打ち消し合い、an=∑k=n+12n3k−∑k=1n3k となる。
等比数列の和を用いると∑k=n+12n3k=32n+1−3n+12,∑k=1n3k=3n+1−32である。したがって an=32n+1−2⋅3n+1+32 である。

また 9n=32n だからan9n=32−3n+132n+32⋅32nである。右辺の第2項、第3項は n→∞ で 0 に近づくので lim⁡n→∞an9n=32 である。

左右の項を対にすると、中央区間では各対の距離和が一定になる

別解

解法2

方針

(1) 中央の2点をはさむ区間で、左から k 番目と右から k 番目を対にする。各対までの距離和が x によらず一定になることを示す。区間の外では少なくとも一対の和が増える。(2) 対ごとの差を等比数列として合計し、極限を取る。

解答

(1) 3n≦x≦3n+1 とする。k=1,…,n に対し、点 3k と点 32n+1−k を対にする。このとき3k≦x≦32n+1−kだから、この対からの距離の和は(x−3k)+(32n+1−k−x)=32n+1−k−3kとなり、x によらない。全ての対について同じなので、中央区間では f(x) は一定である。

x<3n から右へ動かすと右側の点の方が多いため距離和は減り、x>3n+1 では右へ動かすと距離和は増える。したがって最小となる集合は[3n,3n+1]である。

(2) 上の対の和を合計するとan=∑k=1n(32n+1−k−3k)=∑j=n+12n3j−∑k=1n3k=32n+1−2⋅3n+1+32.したがってan9n=32−31−n+32⋅9n⟶32.よって極限値は 3/2 である。

総評

絶対値の和の最小化と等比数列の和を組み合わせる問題。目安時間は18分。偶数個の点に対する距離和は中央2点の間で最小になる、という基本性質を明確に使うと (1) は短い。(2) は最小区間内で左に n 個、右に n 個あるため、x が消えることを確認してから和を計算する。 2つの解法と解説図を相互に照合し、境界値・必要十分性・符号も確認した。

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出典: 東北大学 1984年度 前期 数学。問題文はHTML表示のために再入力・数式組版しています。