方針
行列 は複素数の掛け算と同じ形で、長さを 倍し、面積を 倍する。任意の三角形の面積が保たれる条件はこの倍率が1であること。(2)では の移る前の点を求め、 の円周上で一次式 を最大化する。(3)では得られた行列が回転を表すことを確認し、3頂点の移り先を計算して正方形を図示できる形にする。
解答
(1)
行列 は第1行が 、第2行が の行列である。この1次変換による面積の倍率は、行列式の絶対値 である。原点を1頂点とする任意の三角形の面積が保たれるためには、この倍率が1でなければならず、またこの条件で十分である。したがって である。
(2)
(1)の条件のもとでは なので、逆変換を表す行列は第1行が 、第2行が の行列である。点 が によって に移されるとすると、 である。したがって求める点の 座標は である。
条件 のもとで、コーシーの不等式より である。等号は が と同じ向きの単位ベクトルであるとき、すなわち のとき成り立つ。
(3)
(2)の値を代入すると、 は で表される。これは長さと角を保つ回転である。各頂点の移り先は である。したがって正方形 は、原点を1頂点とし、辺の長さが1のまま、正弦が 、余弦が となる角だけ時計回りに回転した合同な正方形に移る。図示では上の4点を順に結べばよい。
別解
解法2:列ベクトルの長さと直交性から回転と読む
方針
行列の第1列 と第2列 は直交し、長さがともに である。この二つを正方形の辺の移り先と見れば、面積保存条件を図形的に得られる。(2)は逆像の 座標を、単位円上の点 と固定ベクトル の内積として最大化する。(3)は列ベクトルをそのまま2辺として図示する。
解答
(1)
行列 の二つの列ベクトルをとおく。このときしたがって、単位正方形は一辺 の正方形へ移り、面積倍率は である。三角形も同じ倍率で面積が変わるので、必要十分条件はである。
(2)
条件 (1) のもとでは は長さを保つから、逆変換は内積を二つの列方向へ戻す変換になる。点 の逆像の 座標は単位円上で等号は が と同じ向きのときだから(3)
このとき正方形の2辺 はへ移る。両者は長さ1で直交する。したがって像は、原点を1頂点とする合同な正方形で、他の頂点はである。
総評
難度6、計算量5、目安時間18分。原問題が行列による一次変換を明示しているため、行列と列ベクトルを正面から用いる。面積倍率 、逆像の 座標 、正方形の2辺の像を順に整理するのが得点の骨格である。「点に移される点」を逆像として読むことと、回転角を逆三角関数に頼らず正弦・余弦で示すことが重要である。