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東北大学 1987年度 前期日程 第2次学力試験文系数学 第1問

abを実数とする.

(1) 行列A=(abba)で表される1次変換fは,
xy平面の原点Oを1つの頂点とする任意の三角形OPQをこれと面積の等しい三角形OPQにうつす.
abの満たすべき条件を求めよ.

(2) (1)の条件のもとで,fによって点(2,1)にうつされる点のx座標が最大になるときの
abの値を求めよ.

(3) (2)の条件のもとで,点E1(1,0)E2(1,1)E3(0,1)に対して,
正方形OE1E2E3は,fによって,どのような図形にうつるか.図示せよ.

難易度6/ 10計算量5/ 10目安18

行列ベクトル 計算整理、範囲評価、回転・拡大

方針

行列 A は複素数の掛け算と同じ形で、長さを a2+b2 倍し、面積を a2+b2 倍する。任意の三角形の面積が保たれる条件はこの倍率が1であること。(2)では (2,1) の移る前の点を求め、a2+b2=1 の円周上で一次式 2ab を最大化する。(3)では得られた行列が回転を表すことを確認し、3頂点の移り先を計算して正方形を図示できる形にする。

解答

(1)
行列 A は第1行が (a,b)、第2行が (b,a) の行列である。この1次変換による面積の倍率は、行列式の絶対値 aa(b)b=a2+b2 である。原点を1頂点とする任意の三角形の面積が保たれるためには、この倍率が1でなければならず、またこの条件で十分である。したがって a2+b2=1 である。

(2)
(1)の条件のもとでは a2+b2=1 なので、逆変換を表す行列は第1行が (a,b)、第2行が (b,a) の行列である。点 (x,y)f によって (2,1) に移されるとすると、(x,y)=(2ab,2ba) である。したがって求める点の x 座標は 2ab である。

条件 a2+b2=1 のもとで、コーシーの不等式より 2ab22+(1)2a2+b2=5 である。等号は (a,b)(2,1) と同じ向きの単位ベクトルであるとき、すなわち a=25,b=15 のとき成り立つ。

(3)
(2)の値を代入すると、f(x,y)(2x+y5,x+2y5) で表される。これは長さと角を保つ回転である。各頂点の移り先は OO, E1(1,0)(25,15), E2(1,1)(35,15), E3(0,1)(15,25) である。したがって正方形 OE1E2E3 は、原点を1頂点とし、辺の長さが1のまま、正弦が 1/5、余弦が 2/5 となる角だけ時計回りに回転した合同な正方形に移る。図示では上の4点を順に結べばよい。

別解

解法2:列ベクトルの長さと直交性から回転と読む

方針

行列の第1列 (a,b) と第2列 (b,a) は直交し、長さがともに a2+b2 である。この二つを正方形の辺の移り先と見れば、面積保存条件を図形的に得られる。(2)は逆像の x 座標を、単位円上の点 (a,b) と固定ベクトル (2,1) の内積として最大化する。(3)は列ベクトルをそのまま2辺として図示する。

解答

(1)
行列 A の二つの列ベクトルをu=(a,b),v=(b,a)とおく。このときu=v=a2+b2,uv=0.したがって、単位正方形は一辺 a2+b2 の正方形へ移り、面積倍率は a2+b2 である。三角形も同じ倍率で面積が変わるので、必要十分条件はa2+b2=1である。

(2)
条件 (1) のもとでは A は長さを保つから、逆変換は内積を二つの列方向へ戻す変換になる。点 (2,1) の逆像の x 座標は(2,1)(a,b)=2ab.単位円上で2ab22+(1)2a2+b2=5.等号は (a,b)(2,1) と同じ向きのときだからa=25,b=15.(3)
このとき正方形の2辺 (1,0),(0,1)(25,15),(15,25)へ移る。両者は長さ1で直交する。したがって像は、原点を1頂点とする合同な正方形で、他の頂点は(25,15),(35,15),(15,25)である。

総評

難度6、計算量5、目安時間18分。原問題が行列による一次変換を明示しているため、行列と列ベクトルを正面から用いる。面積倍率 a2+b2、逆像の x 座標 2ab、正方形の2辺の像を順に整理するのが得点の骨格である。「点に移される点」を逆像として読むことと、回転角を逆三角関数に頼らず正弦・余弦で示すことが重要である。

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出典: 東北大学 1987年度 前期 数学。問題文はHTML表示のために再入力・数式組版しています。