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東北大学 1986年度 前期日程 第2次学力試験理系数学 第3問

(1) 行列A=(ab1a) (a>0, b>0)について,
A3=Aが成立するようにa,bを定めよ.

(2) (1)のa,bに対して,
1次変換{x′=ax+byy′=x+ayを考える.
この1次変換による円x2+y2=1の像を図示せよ.

難易度6/ 10計算量5/ 10目安27分

行列、図形と方程式 恒等式比較、軌跡、計算整理

方針

(1) は A3−A を成分計算し、a>0、b>0 を使って方程式を2本に絞る。a2+3b−1=0 と 3a2+b−1=0 を解けば一意に決まる。(2) では得た変換式を代入すると、常に y′=2x′ が成り立つので、移った図形は1本の直線上にある。円周上で x′=(1/2)x+(1/4)y がとる範囲を内積の最大値として求め、線分として図示する。

解答

(1) A=(ab1a)とする。計算するとA3−A=(a(a2+3b−1)b(3a2+b−1)3a2+b−1a(a2+3b−1))である。したがって A3=A が成り立つためには a(a2+3b−1)=0,b(3a2+b−1)=0,3a2+b−1=0 が必要である。

ここで a>0、b>0 なので、a≠0、b≠0 である。よって a2+3b−1=0,3a2+b−1=0 を解けばよい。第1式から b=1−a23 であり、第2式から b=1−3a2 である。これらを等しいとして 1−a23=1−3a2 を得る。整理すると 1−a2=3−9a2,8a2=2 であるから a2=14 である。a>0 より a=12 である。さらに b=1−3⋅14=14 である。したがって a=12,b=14 である。

(2) (1) の値を代入すると、1次変換は x′=12x+14y,y′=x+12y である。このとき y′=2(12x+14y)=2x′ である。したがって、移った図形は直線 y′=2x′ 上にある。

次に x′ の範囲を求める。円 x2+y2=1 上で x′=12x+14y である。内積の形で見ると∣x′∣≦(12)2+(14)2x2+y2=54である。また等号は、(x,y) が (1/2,1/4) と同じ向き、または反対向きにあるときに成り立つので、この範囲のすべての値をとる。

したがって移った図形は y=2x,−54≦x≦54 で表される線分である。端点は(54,52),(−54,−52)である。

別解

解法2(跡と行列式の恒等式)

方針

2次行列の恒等式を使って A3=A を2つの係数条件へ落とす。像は円を三角関数で媒介表示し、一直線上で振幅の範囲を動く線分として図示する。

解答

(1) t=2a,d=a2−bと置く。2次行列の直接計算からA2−tA+dE=O,A3=(t2−d)A−tdE.A3=A で、A の左下成分は1だからt2−d−1=0,td=0.a>0 より t>0 なので d=0、したがって b=a2 である。さらに t2=1 からa=12,b=14.(2)x=cos⁡θ, y=sin⁡θ と置くとx′=12cos⁡θ+14sin⁡θ,y′=2x′.ある角 ϕ を用いてx′=54cos⁡(θ−ϕ)と書けるので、x′ は −5/4 から 5/4 までの全値を取る。よって像はy′=2x′,−54≦x′≦54で表される線分で、端点は(±54, ±52)である。

総評

行列条件と円の退化像を扱う問題で、目安は27分。正条件a,b>0で分岐を除き、像が面積を持つ楕円ではなく線分になることをy'=2x'から読む。端点は一次式の振幅で確認する。

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出典: 東北大学 1986年度 前期 数学。問題文はHTML表示のために再入力・数式組版しています。