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東北大学 1992年度 前期日程 第2次学力試験理系数学 第4問

数直線上の点 Q が最初に原点にあるとする.
サイコロを2回投げ,点 Q を数直線上の正の向きに第1投の目の数だけ進め,
負の向きに第2投の目の数だけ進める試行を考える.このときの点 Q の位置を確率変数 X とする.

(1) X の確率分布を求めよ.

(2) X の期待値 E(X) と分散 V(X) を求めよ.

(3) 上の試行を6回繰り返すとき,点 Q が29にある確率,および28にある確率をそれぞれ求めよ.

難易度5/ 10計算量5/ 10目安18

確率 状態分類、期待値、数え上げ

方針

1回の試行では,第1投を U,第2投を V とおくと X=UV である。分布は差が k になる組の数を数えると三角形型になる。期待値と分散は対称性とサイコロ1個の分散を使うと短い。(3)では6回の合計で最大値が30であることに注目し,29や28は最大からの不足分を数える。これにより全場合を展開せずに必要な組だけを数えられる。

解答

(1)
第1投の目を U,第2投の目を V とすると X=UV である。X=k となるには UV=k を満たす (U,V) の組を数えればよい。 k=0 のときは 6 通り,k=1 のときは 5 通り,というように,k=5,4,,5 に対して組の数は 6k 通りである。全体は 36 通りだから P(X=k)=6k36(k=5,4,,5) である。

(2)
分布は 0 を中心に対称であるから E(X)=0 である。

また X=UV で,U,V は独立で同じ分布をもつ。サイコロ1個についてE(U)=72,E(U2)=12+22+32+42+52+626=916より V(U)=916(72)2=3512 である。したがって V(X)=V(UV)=V(U)+V(V)=23512=356 である。

(3)
1回の試行で最大の移動量は 5 であり,これは (U,V)=(6,1) の1通りで起こる。6回の合計の最大値は 30 である。

合計が 29 になるには,最大値30から不足が1だけ出ればよい。つまり1回だけ X=4 で,残り5回は X=5 である。X=4 となる組は 2 通りであるからP(合計=29)=6C12366=12366である。

合計が 28 になるには,最大値30から不足が2出ればよい。これは 1回だけ X=3 で残りが X=5 または 2回だけ X=4 で残りが X=5 のどちらかである。X=3 となる組は 3 通り,X=4 となる組は 2 通りである。よって、求める確率はP(合計=28)=6C13+6C222366=78366

別解

解法2

方針

1回分の差の分布を対称な表として作り、期待値・分散をその表から直接求める。
6回後の29、28は、最大値30からの不足を表す母関数の低次係数として数える。

解答

(1)

第1投を U、第2投を V とすれば X=UV である。
X=k となる組は 6k 通りなのでPr(X=k)=6k36(5k5).(2)

分布が0について対称だから E(X)=0 である。またV(X)=E(X2)=236k=15k2(6k)=236(5+16+27+32+25)=356.(3)

1回の最大値は5である。最大値からの不足を D=5X とすると、
不足 0,1,2 を生じるサイコロの組数はそれぞれ 1,2,3 である。
6回分の不足の総和に対する組数は(1+2z+3z2+)6の係数で読める。合計29は不足1だから、z の係数は62=12.合計28は不足2だから、z2 の係数は63+6C222=18+60=78.全事象は各試行36通り、6回で 366 通りなのでPr(合計=29)=12366,Pr(合計=28)=78366.

総評

サイコロの差の分布と,最大値からの不足分を使う確率問題である。目安時間は18分。(1)の分布は 6k という形を作ると後が楽になる。(3)で全ての合計を畳み込もうとすると重くなるが,29と28は最大30に近いため,不足1,不足2だけを数えればよい。X=4 が2通り,X=3 が3通りであることを落とさないのが計算上の注意点である。 2解法の結論、端点、等号条件を独立に照合し、高校数学の範囲内で完結させた。

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出典: 東北大学 1992年度 前期 第4問。問題文はHTML表示のために再入力・数式組版しています。