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東北大学 1998年度 前期日程 第2次学力試験理系数学 第2問

2次正方行列X=(stuv)に対し,
s+vをXのトレースという.
A=(ab−bc)と
A2のトレースがともに−1であるとする.

(1) A3=Eを示せ.ただし,Eは単位行列である.
(2) 連立1次方程式
(A+E)4(xy)=(b−a)を解け.

難易度6/ 10計算量5/ 10目安18分

行列 式変形、恒等式比較、計算整理

方針

まずトレース条件から det⁡A=1 を求める。2次行列では (tr⁡A)2=tr⁡(A2)+2det⁡A が成り立つので,これで行列式が分かる。さらに2次行列の成分計算で A2+A+E=0 を得る。(2) はこの関係から (A+E)2=A,(A+E)4=A2 と簡約する。

解答

(1) Aのトレースが−1で、A2のトレースも−1である。2次行列を成分で計算すると (トレース A)2=トレース A2+2det⁡A であるから 1=−1+2det⁡A より det⁡A=1 である。したがって成分計算により A2+A+E=0 となる。これにA−Eを掛けると A3=E である。

(2) A2+A+E=0より (A+E)2=A である。したがって (A+E)4=A2 である。方程式はA2(xy)=(b−a)であり、両辺にAを掛けると(xy)=A(b−a)=(0−b2−ac)=(0−1).よって (x,y)=(0,−1) である。 A2+A+E=0 を得た後の流れを補足する。この式から (A+E)2=A2+2A+E=A である。したがって (A+E)4=A2 となる。方程式は A2Cxy=Cb−a である。さらに A3=E なので両辺に左から A を掛ければ Cxy=ACb−a である。成分計算により ACb−a=Cab−ab−b2−ac=C0−(ac+b2). ここで det⁡A=ac+b2=1 だから Cxy=C0−1 となる。

別解

解法2

方針

トレースの一般公式を引用せず、与えられた成分を直接計算してa+cとac+b²を求める。そこからA²+A+E=0を成分ごとに確認し、後半を簡約する。

解答

A のトレースからa+c=−1.(1)またA2=(a2−b2b(a+c)−b(a+c)c2−b2)だから、A2 のトレース条件はa2+c2−2b2=−1.(2)(1)を二乗し、(2)を引くと2ac+2b2=2,ac+b2=1.(3)(1)

A2+A+E の非対角成分は b(a+c+1) とその符号違いなので0である。左上成分はa2−b2+a+1=a2+a+ac=a(a+c+1)=0で、右下も同様に0である。よってA2+A+E=0.両辺に A−E を掛ければ A3=E である。

(2) (A+E)2=A,(A+E)4=A2.したがって与式へ左から A を掛けると(xy)=A(b−a)=(0−(b2+ac)).(3)より(x,y)=(0,−1).

総評

2次行列のトレースと行列式の関係を使う問題である。所要時間は18分程度。A2+A+E=0 が出ると,A3=E だけでなく (A+E)4 も一気に簡約できる。後半では ac+b2=1 を最後の成分計算に使うため,行列式の値を忘れずに保持したい。

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出典: 東北大学 1998年度 前期 理系 第2問。問題文はHTML表示のために再入力・数式組版しています。