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東北大学 1999年度 後期日程 第2次学力試験理系(後期)数学 第5問

(1) 実数を成分とする2次正方行列A=(abcd)が,
ある実数p,q (q≠0)について,
A3=(pq−qp)をみたせば
a=d,b=−cであることを示せ.
(2) 実数を成分とする2次正方行列A=(ab−ba)で,
A3=(22−22)をみたすものをすべて求めよ.

難易度7/ 10計算量6/ 10目安22分

行列、複素数平面 実部虚部比較、複素数の極形式、恒等式比較

方針

(1) は2次正方行列の恒等式 A2−(tr⁡A)A+(det⁡A)I=O を成分計算として用いる。これにより A3 は A と単位行列の一次結合で表される。A3 が非実数に対応する形で、右上成分 q≠0 をもつため、その一次結合の係数は0ではなく、A 自身も同じ形になる。(2)は行列 (ab−ba) を複素数 a−bi に対応させ、(a−bi)3=2−2i の3つの解を求める。

解答

(1)
2次正方行列A=(abcd)について、直接計算により A2−(a+d)A+(ad−bc)I=O が成り立つ。これに A を掛けると A3=(a+d)A2−(ad−bc)A であり、さらに A2=(a+d)A−(ad−bc)I を代入して A3=((a+d)2−(ad−bc))A−(a+d)(ad−bc)I となる。

ここで λ=(a+d)2−(ad−bc) とおく。もし λ=0 なら、上式より A3 は単位行列の実数倍になり、右上成分は0になる。しかし問題ではA3=(pq−qp),q≠0なので、これは不可能である。したがって λ≠0 である。

上式から A=1λ{A3+(a+d)(ad−bc)I} である。右辺は(pq−qp)と単位行列の一次結合だから、対角成分が等しく、左下成分が右上成分の符号反対である形を保つ。したがって a=d,b=−c である。

(2)
行列(ab−ba)を複素数 a−bi に対応させる。この対応では、行列の積は複素数の積に対応する。したがって条件は (a−bi)3=2−2i と同値である。

右辺を極形式で表すと 2−2i=22(cos⁡(−45∘)+isin⁡(−45∘)) である。よって3乗根はa−bi=2(cos⁡−45∘+360∘k3+isin⁡−45∘+360∘k3)で、k=0,1,2 である。

それぞれの角は −15∘,105∘,225∘ である。a−bi=ρ(cos⁡θ+isin⁡θ) だから a=ρcos⁡θ,b=−ρsin⁡θ である。したがって (a,b)=(1+32,3−12), (a,b)=(1−32,−1+32), (a,b)=(−1,1) を得る。

よって求める行列は(1+323−12−3−121+32),(1−32−1+321+321−32),(−11−1−1)である。

別解

解法2

方針

(1) は A と A3 が可換であることだけを使う。(2)は対応する複素数の3乗根を列挙する。

解答

(1) J=A3=(pq−qp)とおく。A は自分の3乗と可換だから AJ=JA である。両辺の左上成分を比較するとap−bq=pa+qc.q≠0 より b=−c。右上成分を比較するとaq+bp=pb+qdなので a=d である。

(2) (ab−ba)⟷a−biと対応させる。条件は(a−bi)3=2−2i=22(cos⁡(−45∘)+isin⁡(−45∘)).絶対値は 2、偏角は−15∘,105∘,225∘.よって(a,b)=(1+32,3−12),(1−32,−1+32),(−1,1).これらを (ab−ba) に代入した3行列がすべてである。

総評

行列と複素数の対応を使う問題である。目安時間は22分程度。(1)は成分を直接展開してもよいが、2次正方行列の基本恒等式を使うと、A3 が A と単位行列の一次結合になるため見通しがよい。q≠0 によって係数が0でないことを確認するのが要点である。(2)は対応する複素数を a−bi とする符号に注意し、3つの偏角から b=−ρsin⁡θ を計算する。

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出典: 東北大学 1999年度 後期 理系 第5問。問題文はHTML表示のために再入力・数式組版しています。