方針
(1) は2次正方行列の恒等式 を成分計算として用いる。これにより は と単位行列の一次結合で表される。 が非実数に対応する形で、右上成分 をもつため、その一次結合の係数は0ではなく、 自身も同じ形になる。(2)は行列 を複素数 に対応させ、 の3つの解を求める。
解答
(1)
2次正方行列について、直接計算により が成り立つ。これに を掛けると であり、さらに を代入して となる。
ここで とおく。もし なら、上式より は単位行列の実数倍になり、右上成分は0になる。しかし問題ではなので、これは不可能である。したがって である。
上式から である。右辺はと単位行列の一次結合だから、対角成分が等しく、左下成分が右上成分の符号反対である形を保つ。したがって である。
(2)
行列を複素数 に対応させる。この対応では、行列の積は複素数の積に対応する。したがって条件は と同値である。
右辺を極形式で表すと である。よって3乗根はで、 である。
それぞれの角は である。 だから である。したがって を得る。
よって求める行列はである。
別解
解法2
方針
(1) は と が可換であることだけを使う。(2)は対応する複素数の3乗根を列挙する。
解答
(1) とおく。 は自分の3乗と可換だから である。両辺の左上成分を比較すると より 。右上成分を比較するとなので である。
(2) と対応させる。条件は絶対値は 、偏角はよってこれらを に代入した3行列がすべてである。
総評
行列と複素数の対応を使う問題である。目安時間は22分程度。(1)は成分を直接展開してもよいが、2次正方行列の基本恒等式を使うと、 が と単位行列の一次結合になるため見通しがよい。 によって係数が0でないことを確認するのが要点である。(2)は対応する複素数を とする符号に注意し、3つの偏角から を計算する。