方針
定義の中に fn−1Fn−1 が現れるので、Fn−1′=fn−1 から fn={Fn−1}2/2 と書けることが中心である。この恒等式で非負性を示し、n≧3 では fn−1≧0 から Fn−1(x)≧0 を得る。(3)は非負連続関数の積分が0なら区間上で恒等的に0という事実を、f3、f2、F1 へ順に戻して使う。
解答
(1) Fn−1′(x)=fn−1(x) であるから、定義よりfn(x)=∫0xfn−1(t)Fn−1(t)dt=∫0xFn−1′(t)Fn−1(t)dt=21{Fn−1(x)}2−21{Fn−1(0)}2である。ここで Fn−1(0)=∫00fn−1(t)dt=0 なので fn(x)=21{Fn−1(x)}2 である。したがって n≧2 のとき、すべての実数 x について fn(x)≧0 である。
(2) n≧3 とする。このとき n−1≧2 なので、(1)より fn−1(x)≧0 である。x≧0 では Fn−1(x)=∫0xfn−1(t)dt≧0 である。よって fn′(x)=fn−1(x)Fn−1(x)≧0 であり、示された。
(3) f4′(1)=f3(1)F3(1)=0 である。ここで f3(x)≧0 であり、F3(1)=∫01f3(x)dx≧0 である。
もし F3(1)=0 なら、非負連続関数 f3 の [0,1] 上の積分が0であるから f3(x)=0(0≦x≦1) である。特に f3(1)=0 である。したがって、いずれの場合も f3(1)=0 が成り立つ。
(1) で得た式を n=3 に用いると f3(1)=21{F2(1)}2 だから F2(1)=0 である。さらに f2(x)≧0 なので F2(1)=∫01f2(x)dx=0 から f2(x)=0(0≦x≦1) である。
最後に f2(x)=21{F1(x)}2 であるから、0≦x≦1 で F1(x)=0 である。両辺を微分して f1(x)=0(0≦x≦1) を得る。
零点を逆向きに伝える
別解
解法2
方針
fn=Fn−12/2 をまず確立し、(3)では「非負連続関数の積分が0なら恒等的に0」を f3,f2 に順に適用する。積の一方が0という分岐を統一して扱う。
解答
(1)
Fn−1′=fn−1 だからfn(x)=∫0xFn−1′(t)Fn−1(t)dt=21Fn−1(x)2.これで非負性が従う。
(2)
n≧3, x≧0 では fn−1≧0 なのでFn−1(x)=∫0xfn−1(t)dt≧0.よってfn′(x)=fn−1(x)Fn−1(x)≧0.(3)
f4′(1)=f3(1)F3(1)=0 とする。F3(1)=0 なら非負連続な f3 の積分が0なので f3≡0。いずれにせよ f3(1)=0 である。したがってF2(1)=0.同様に f2≧0 から [0,1] 上で f2≡0 となる。ゆえに F12/2=f2=0、微分してf1(x)=0(0≦x≦1).
総評
難度は10段階中7、計算量は10段階中6。目安時間は25分。採点ポイントは、fn={Fn−1}2/2 という基本恒等式を最初に作ること、非負性と積分0から恒等的に0を導く流れを区間 [0,1] に限定して正確に戻すことである。誤りやすいのは、x<0 でも Fn−1(x)≧0 としてしまうこと、また(3)で f4′(1)=0 からすぐ f3(1)=0 と断定してしまうことである。
冊子PDFで見る東北大の積分の問題で問題集を作る
出典: 東北大学 2002年度 前期 数学。問題文はHTML表示のために再入力・数式組版しています。