方針
正弦と余弦がともに等しいことは、角そのものが 2π の整数倍だけ違うことを意味する。したがって m(s−t)=2kπ、n(s−t)=2lπ と書ける。両式を比べると kn=lm であり、m,n が互いに素であることから k=mq、l=nq と表せる。これにより s−t=2qπ となり、仮定 ∣s−t∣<2π から q=0 を導く。
解答
sinms=sinmt,cosms=cosmt が成り立つ。正弦と余弦がともに等しい2つの角は、2π の整数倍だけ異なる。したがって、ある整数 k が存在して ms−mt=2kπ である。すなわち m(s−t)=2kπ である。
同様に sinns=sinnt,cosns=cosnt から、ある整数 l が存在して n(s−t)=2lπ である。
上の2式から s−t=m2kπ=n2lπ である。よって kn=lm である。ここで m と n は互いに素であるから、m は k を割り切り、n は l を割り切る。したがって、ある整数 q を用いて k=mq,l=nq と書ける。
これを m(s−t)=2kπ に代入すると m(s−t)=2mqπ である。m は自然数なので m=0 であり、両辺を m で割って s−t=2qπ を得る。
ところが仮定より ∣s−t∣<2π である。s−t が 2π の整数倍で、かつ絶対値が 2π より小さいためには q=0 でなければならない。したがって s−t=0 であり、s=t である。
条件・検算
正弦だけ、または余弦だけの一致では角の差を一意に定められない。両方の一致、互いに素、差の絶対値という3条件を順に使う。
別解
解法2(ベズーの等式による別解)
方針
正弦・余弦の一致から m(s−t) と n(s−t) がともに 2π の整数倍であることを得る。互いに素な m,n にベズーの等式を用い、s−t 自体が 2π の整数倍であることを導く。
解答
正弦と余弦がともに等しいので、ある整数 k,l が存在してm(s−t)=2kπ,n(s−t)=2lπとなる。m,n は互いに素だから、ある整数 u,v が存在してum+vn=1となる。したがってs−t=(um+vn)(s−t)=u{m(s−t)}+v{n(s−t)}=2(uk+vl)π.よって s−t は 2π の整数倍である。一方∣s−t∣<2πだから、その整数倍は0だけである。したがってs=t.この方法では m∣k、n∣l を個別に示す必要がない。
総評
難度5、計算量3。三角関数の値の一致を角の合同条件に直し、互いに素という整数条件を使う証明問題である。目安は12分程度。正弦だけ、または余弦だけの一致では角が一意に決まらないが、両方が一致すれば 2π の整数倍の差に限られる。最後の ∣s−t∣<2π は、s−t=2qπ から q=0 を決めるために使う。
問題・解答の積分・総和・極限は原則として独立行に置き、分数は表示サイズで可読性を確保した。図は原問題の復元図または答案の論理関係を確認するための独自作図であり、解法の境界条件と結論を本文だけでも追えるようにした。
冊子PDFで見る東北大の三角関数の問題で問題集を作る
出典: 東北大学 2005年度 後期 数学。問題文はHTML表示のために再入力・数式組版しています。