方針
, と置き, を直接二乗する。 は対角成分の和が0の形になるため, は の同次二次式が0になる条件に落ちる。最後は の実数解が存在する条件を判別式で調べ,同次式なので解を正規化すれば にできることも確認する。
解答
とおく。このとき であり,特に である。 とおくとである。ここで と書けばである。この形の行列を二乗するととなる。したがって であるための条件は である。
これを で書くと である。展開して を得る。
もし なら, より であり,上の式は となって矛盾する。したがって解があるなら である。そこで とおくと となる。この二次方程式が実数解をもつことが必要十分である。
判別式が0以上であればよいから である。整理して すなわち である。因数分解すると である。
よって求める範囲は である。逆に,この範囲では上の二次方程式に実数解 がある。非零の組 は同次二次式を満たすので,これを正規化すれば を満たす組が得られる。したがって実際にある実数 が存在する。
別解
解法2(二次形式の符号)
方針
行列を二乗して得られる条件を の二次形式と見る。単位円上に零点をもつ条件は、対応する実対称行列が不定または特異であること、すなわち行列式が0以下であることに等しい。
解答
とおく。直接計算するとである。したがって必要十分条件は、単位ベクトル に対してとなることである。
実対称な 行列に対する二次形式が非零ベクトル上で をとるのは、2つの固有値の符号が異なるか、少なくとも一方が のときである。これは行列式が 以下であることと同値である。よって整理するとしたがってこの条件のもとで得られる非零の零ベクトルを長さ1に正規化すれば、ある実数 の として表せるので、十分性も満たされる。
総評
難度は10段階中6、計算量は10段階中5。試験場での目安は22分で、行列条件を三角関数の存在条件へ落とす問題である。採点点は、対角成分の和が0の行列の二乗を正しく計算すること、 の同次二次式にして判別式を使うこと、得た非零解を正規化すれば と見なせる点を確認することにある。最初から だけで進めると の扱いを忘れやすいので、先に除外しておくと安全である。