方針
まず B=(u v;w r) とおいて B2=−E を直接計算し、対角成分の和が0であることを示す。すると A=sE+tB の対角成分の和から s=(a+d)/2 が決まる。次に M=A−sE と置くと M=tB なので M2=−t2E であり、これを成分計算して t2 と不等式を得る。(2)は実数係数の2次方程式なので、s+it と s−it を根にもつことから係数を読む。
解答
(1)
まず B=(uwvr) とおく。B2=−E の非対角成分から v(u+r)=0,w(u+r)=0 が得られ、対角成分の差から (u−r)(u+r)=0 が得られる。もし u+r=0 なら、上の式より v=w=0 かつ u=r となるが、このとき対角成分は u2=−1 となり、実数では不可能である。したがって u+r=0 である。つまり、B の対角成分の和は0である。 A=sE+tB の対角成分の和を比べると、B の対角成分の和が0だから a+d=2s である。よって s=2a+d である。
次にM=A−sE=2a−dcb2d−aとおくと、M=tB であるから M2=t2B2=−t2E である。一方、α=(a−d)/2 とおけばM=(αcb−α)であり、直接計算して M2=(α2+bc)E となる。したがって α2+bc=−t2 である。すなわち t2=−{4(a−d)2+bc}=−4(a−d)2+4bc である。t は正の実数なので右辺は正であり、(a−d)2+4bc<0 が成り立つ。また t=21−(a−d)2−4bc である。
(2)
実数係数の2次方程式が s+it を解にもつなら、s−it も解にもつ。したがってその方程式は (x−(s+it))(x−(s−it))=0 すなわち x2−2sx+s2+t2=0 である。よって p=−2s=−(a+d) である。また q=s2+t2=4(a+d)2−4(a−d)2+4bc=ad−bc である。したがって p=−(a+d),q=ad−bc である。
条件・検算
実行列 B の跡が0であることを例外なく示し、t>0 により平方根の符号を確定した。
総評
難度6、計算量5。目安時間は28〜32分。行列の問題だが、特別な理論を使う必要はなく、B2=−E を成分で丁寧に計算すれば進む。最も大事なのは、B の対角成分の和が0であることを実数条件込みで示す点である。そこを飛ばして s=(a+d)/2 を書くと根拠が弱い。(1)の不等式は t>0 から右辺が正でなければならない、という形で出る。(2)では s+it だけでなく s−it も解になることを明記し、q=s2+t2 の整理で ad−bc まで落とし切るのが採点上のポイントである。
冊子PDFで見る東北大の行列の問題で問題集を作る
出典: 東北大学 2004年度 後期 数学。問題文はHTML表示のために再入力・数式組版しています。