方針
2本の半直線のなす角を ϕ とし,最初の直角三角形から sinϕ=1/n,cosϕ=(n−1)/n を求める。垂線の長さは操作のたびに cosϕ 倍され,隣接する垂線ベクトルの内積は長さの積に −cosϕ を掛けたものになる。最後は等比数列の和を取り,(1−1/n)n→1/e に帰着させる。
解答
(1) ∠A1OA2=ϕ とおく。△OA1A2 は A2 で直角で,OA1=1,A1A2=1/n である。したがって sinϕ=OA1A1A2=n1 であり,cosϕ=1−n1=nn−1 である。
最初の垂線ベクトルの長さは ∣h1∣=A1A2=n1 である。以後,片方の半直線からもう片方の半直線へ垂線を下ろすたびに,同じ角 ϕ をもつ直角三角形ができるので,長さは毎回 cosϕ 倍になる。よって∣hk∣=n1(nn−1)k−1である。
また,隣り合う hk と hk+1 のなす角の余弦は,向きまで考えると −cosϕ=−nn−1 である。したがってhk⋅hk+1=∣hk∣∣hk+1∣(−nn−1)であり,長さを代入してhk⋅hk+1=−n1(nn−1)kを得る。
(2)
(1)より Sn=−n1k=1∑n(1−n1)k である。ここで r=1−n1 とおくと k=1∑nrk=1−rr(1−rn) であり,1−r=1/n だからSn=−r(1−rn)=−(1−n1){1−(1−n1)n}である。
与えられた e の定義から n→∞lim(1−n1)n=e1 である。したがって n→∞limSn=−1⋅(1−e1)=e1−1 である。
2本の半直線への直交射影を交互に繰り返すため、各線分の長さは一定比で縮む。
総評
難度は10段階中6、計算量は10段階中5。試験場での目安は24分で、文系類題を一般の n に拡張した形である。採点点は、sinϕ と cosϕ の取り違えを避けること、内積の符号を −cosϕ とすること、和の上限にも同じ文字 n が使われている点を丁寧に扱うことである。最後は等比数列の和を −r(1−rn) まで簡単にしてから極限へ進むと計算が崩れにくい。
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出典: 東北大学 2008年度 前期 数学(大学公式の問題PDF)。問題文はHTML表示のために再入力・数式組版しています。