Evolton

東北大学 2010年度 後期日程 第2次学力試験文系(後期)数学 第3問

nを2以上の自然数とし,
1回の対戦で勝つ確率が12のチームがn回試合をする.
以下の問いに答えよ.

(1)
第1試合から連勝する回数(0回,1回も含む)の期待値を求めよ.

(2)
最初のk試合(1kn)における勝ち試合数をtkとして,
ak=tkkとおく.
1mn1として,a1a2am,am>am+1となる確率pmを求めよ.

(3)
m=1n1mpmを求めよ.

難易度7/ 10計算量6/ 10目安30

確率数列 期待値、数え上げ和の計算

方針

(1) は連勝回数 X について,期待値を P(Xk) の和で求める。(2) は勝ちを1,負けを0として,平均勝率 ak が増加し続ける条件を調べる。途中で負けが出てもよいのはそれまで勝ちが0の間だけなので,最初の m 試合は「負けが続いた後に勝ちが続く」形に限られる。最後に第 m+1 試合で平均が下がる条件を加える。(3) は得られた有限和を差分または既知の等比和で計算する。

解答

(1)
第1試合からの連勝回数を X とする。Xk であることは,第1試合から第 k 試合まですべて勝つことと同値である。したがって P(Xk)=(12)k(1kn) である。

非負整数値をとる確率変数について E(X)=k=1nP(Xk) であるからE(X)=k=1n(12)k=1/2{1(1/2)n}11/2=112n.よって 112n である。

(2)
各試合について,勝ちを1,負けを0で表す。第 k 試合までの勝ち数を tk とすると ak=tkk である。

k+1 試合の結果を ε とする。ここで ε=1 なら勝ち,ε=0 なら負けである。条件 akak+1tkktk+εk+1 である。両辺に k(k+1)>0 を掛けると (k+1)tkk(tk+ε) すなわち tkkε である。

もし第 k+1 試合が勝ちなら ε=1 であり,tkk は常に成り立つ。もし第 k+1 試合が負けなら ε=0 であり,条件は tk=0 となる。つまり,平均勝率が下がらないまま負けが出ることができるのは,それまで1勝もしていない場合だけである。

したがって a1a2am となるためには,最初の m 試合がLLr 回WWmr 回という形でなければならない。ただし r=0,1,,m である。

さらに am>am+1 となるには,第 m+1 試合が負けであり,かつ最初の m 試合までに少なくとも1勝している必要がある。したがって上の形で r=0,1,,m1m 通りが可能であり,第 m+1 試合は負けに固定される。

よって pm=m2m+1 である。すなわち pm=m2m+1 である。

(3)
(2) より m=1n1mpm=m=1n1m22m+1 である。この和を SN=m=1Nm22m+1 とおく。等比数列の和を2回利用して整理すると SN=3N2+4N+62N+1 である。ここで N=n1 とすればm=1n1m22m+1=3(n1)2+4(n1)+62n=3n2+2n+32n.したがって m=1n1mpm=3n2+2n+32n である。

総評

難度は10段階中7、計算量は10段階中6。目安時間は30分程度で、(2) の平均勝率列の条件を勝敗列の形に翻訳できるかが差になる。(1) は連勝回数の期待値を「少なくとも k 回連勝」の確率で足すと簡潔である。(2) では、負けても平均が下がらないのはそれまで勝ち数が0のときだけ,という観察が中心である。(3) の有限和は最後の添字を N=n1 としてから代入すると,分子の整理ミスを防ぎやすい。

冊子PDFで見る東北大の確率の問題で問題集を作る

出典: 東北大学 2010年度 後期 数学。問題文はHTML表示のために再入力・数式組版しています。