Evolton

東北大学 2010年度 後期日程 第2次学力試験文系(後期)数学 第4問

xy平面の点(−1, 0),(0, 1),(1, 4)を結んでできる折れ線をグラフとする関数を
y=f(x)とおく.このとき,積分∫−11{f(x)−(a∣x∣+b)}2dxを最小にするa,bを求めよ.また,そのときの積分の値を求めよ.

難易度5/ 10計算量5/ 10目安22分

積分、関数 定積分評価、微分による最大最小、計算整理

方針

折れ線で定義された f(x) を,−1≦x≦0 と 0≦x≦1 に分けて一次式で表す。∣x∣ も同じ区間で外せるので,積分は a,b の2次式になる。2変数の2次式を,まず a について平方完成し,次に残った b の2次式を平方完成して最小値を求める。

解答

折れ線の式を区間ごとに求める。点 (−1,0) と (0,1) を結ぶ直線は傾き1なので f(x)=x+1(−1≦x≦0) である。また,点 (0,1) と (1,4) を結ぶ直線は傾き3なので f(x)=3x+1(0≦x≦1) である。

さらに、−1≦x≦0 では ∣x∣=−x、0≦x≦1 では ∣x∣=x である。積分値を I とおくとI=∫−10{x+1−(−ax+b)}2 dx+∫01{3x+1−(ax+b)}2 dx=∫−10{(1+a)x+1−b}2 dx+∫01{(3−a)x+1−b}2 dx.一般に∫01(px+q)2 dx=p23+pq+q2であり、左側の積分も u=−x と置けば同様に処理できる。展開して整理するとI=23a2+2ab−103a+2b2−6b+223である。

まず b を固定して a について平方完成する。I=23(a−5−3b2)2+(12b2−b+196).したがって,固定した b に対して最小となるのは a=5−3b2 のときである。

残った b の式は 12b2−b+196=12(b−1)2+83 である。よって最小となるのは b=1 のときであり,そのとき a=5−32=1 である。

したがって a=1,b=1 であり,最小値は 83 である。

別解

解法2(奇関数と偶関数の分離)

方針

基準となる近似関数を ∣x∣+1 と選ぶ。f(x)−(∣x∣+1)=2x は奇関数であり、一般の補正 (1−a)∣x∣+(1−b) は偶関数である。対称区間では両者の積分が0になるため、誤差平方積分が直交分解される。

解答

区間ごとの式からf(x)={x+1(−1≦x≦0),3x+1(0≦x≦1)である。したがって両区間でf(x)−(∣x∣+1)=2xが成り立つ。

よってf(x)−(a∣x∣+b)=2x+(1−a)∣x∣+(1−b).ここで 2x は奇関数、E(x)=(1−a)∣x∣+(1−b)は偶関数である。したがって 2xE(x) は奇関数であり、対称区間上で∫−112xE(x) dx=0となる。ゆえに∫−11{f(x)−(a∣x∣+b)}2 dx=∫−114x2 dx+∫−11E(x)2 dx≧∫−114x2 dx.等号が成り立つには E(x)≡0 が必要十分であり、a=1,b=1である。このとき最小値は∫−114x2 dx=83となる。

総評

難度は10段階中5、計算量は10段階中5。目安時間は22分程度で、折れ線関数と絶対値を同じ区間で分けるところが出発点である。積分後は a,b の2次式になるため、文系範囲では平方完成で最小値を出すのが自然である。計算量は大きくないが、左区間で ∣x∣=−x になること、定数項まで含めて積分することを誤ると最小値がずれる。最後に最小値 8/3 まで代入して確認する。

冊子PDFで見る東北大の積分の問題で問題集を作る

出典: 東北大学 2010年度 後期 数学。問題文はHTML表示のために再入力・数式組版しています。