方針
(1) は4点が同一円周上にある条件を,弦1,−1を見込む角の等しさとして偏角で表す。向き付き角を使うと,与えられた複素数比が実数で,さらに負であることに対応する。(2)はw=(1+z2)/2を代入し,z=x+yiとして比の虚部が0になる条件を計算する。y>0より円(x−1)2+y2=4が得られ,負の実数になる条件から−1<x<0を加える。
解答
(1) zとwは弦1,−1の反対側にある。4点が同一円周上にあることは,この弦を見込む向き付き角が一致することと同値であり,偏角でargz+1z−1≡argw+1w−1(modπ)と書ける。反対側から見込むため対応する比は正でなく負の実数である。式を整理するとz+1z−1w−1w+1=(1−w)(1+z)(1+w)(1−z),よって必要十分条件が得られる。
(2) w=(1+z2)/2を代入すると,z=1よりR=(1−w)(1+z)(1+w)(1−z)=(z+1)2z2+3.z=x+yiとしA=x2−y2+3,B=2xy,C=(x+1)2−y2,D=2(x+1)yとおけばR=(A+Bi)/(C+Di)である。したがってImR=C2+D2BC−AD=C2+D22y(x2−2x+y2−3).y>0だから,実数条件は(x−1)2+y2=4である。この円上ではC2+D2=16(x+1)2,AC+BD=16x(x+1),よってx=−1に対してR=ReR=x+1x.x<0のもとでこれが負となるのは−1<x<0である。x=−1ではz=−1となり比が未定義,x=0は問題の条件外である。したがって軌跡は(x−1)2+y2=4,−1<x<0,y>0で表される両端を含まない円弧である。
別解
解法2
方針
(1) は弦1,−1を見込む向き付き角を複素数比の偏角に翻訳する。(2)では比を展開せず,1,−1を通る円の一般方程式を作る。z=x+yiから円の係数を定め,w=(1+z2)/2も同じ円上にある条件を代入・因数分解して軌跡を得る。
解答
(1) 弦1,−1を見込む向き付き角を偏角で表すとargz+1z−1≡argw+1w−1(modπ).z,wは実軸の反対側にあるので,比は正でなく負の実数になる。整理するとz+1z−1w−1w+1=(1−w)(1+z)(1+w)(1−z),これが求める必要十分条件である。
(2) 1,−1を通る円はX2+Y2+λY−1=0と書ける。z=x+yiを代入するとλ=y1−x2−y2.またw=21+z2=21+x2−y2+xyi.u=(1+x2−y2)/2,v=xyとして円の左辺へ代入するとu2+v2+λv−1=41{(1+x2−y2)2+4x2y2}+x(1−x2−y2)−1=41{x2−2x+y2−3}{x2−2x+y2+1}.第2因子は(x−1)2+y2>0だから(x−1)2+y2=4.逆にこの円上でx<0,y>0なら上の計算を逆にたどれ,さらにImw=xy<0だから(1)の上下条件も満たす。上半円弧でx<0となる範囲は−1<x<0であり,端点は条件外または比が未定義である。したがって軌跡は(x−1)2+y2=4,−1<x<0,y>0.
総評
難度8,計算量7。目安時間は35分。(1)では「実数」だけでなく,z,wが弦の反対側にあるため負の実数になるところまで説明する。(2)は比の虚部を直接計算しても,1,−1を通る円の一般方程式を使ってもよい。候補の円を得た後,元の負の実数条件またはz,wの上下関係を逆向きにも確認することが必要十分性の採点点である。最後に−1<x<0と端点を含まない理由を明記する。
冊子PDFで見る東北大の複素数平面の問題で問題集を作る
出典: 東北大学 2016年度 後期 数学(大学公式の問題PDF)。問題文はHTML表示のために再入力・数式組版しています。