Evolton

東北大学 2016年度 前期日程 第2次学力試験理系数学 第6問

関数f(x)=∫0π∣sin⁡(t−x)−sin⁡2t∣dtの区間0≦x≦πにおける最大値と最小値を求めよ。

難易度8/ 10計算量7/ 10目安34分

積分、三角関数 絶対値の処理、場合分け、微分による最大最小

方針

絶対値の中身をg(t)=sin⁡(t−x)−sin⁡2tとおき,和積公式で符号を調べる。0≦x≦π,0≦t≦πではsin⁡((t+x)/2)≧0なので,符号変化はcos⁡((3t−x)/2)=0から決まる。分点r=(π+x)/3で積分を分割し,原始関数を用いてf(x)を1つの三角関数に整理する。最後は角2x/3+π/6の範囲で最大・最小を読む。

解答

g(t)=sin⁡(t−x)−sin⁡2tとおく。和積公式よりg(t)=2cos⁡3t−x2sin⁡(−t+x2)=−2sin⁡t+x2cos⁡3t−x2.0≦x,t≦πではsin⁡((t+x)/2)≧0である。符号変化点は3t−x2=π2⟺r=π+x3,π3≦r≦2π3であり,0≦t<rでg(t)≦0,r<t≦πでg(t)≧0となる。したがってf(x)=−∫0rg(t) dt+∫rπg(t) dt.原始関数は∫g(t) dt=−cos⁡(t−x)+12cos⁡2tであるからf(x)=−[−cos⁡(t−x)+12cos⁡2t]0r+[−cos⁡(t−x)+12cos⁡2t]rπ=2cos⁡(r−x)−cos⁡2r+1.ここでr−x=π−2x3,2r=2π+2x3を代入して整理するとf(x)=3sin⁡(2x3+π6)+1.0≦x≦πでは角の範囲がπ6≦2x3+π6≦5π6となる。よってx=π/2のとき最大値4,x=0,πのとき最小値5/2をとる。

別解

解法2

方針

積分をパラメータで微分せず,絶対値の三角不等式と補助符号関数で上下から評価する。上側は∣a−b∣≦∣a∣+∣b∣を積分し,x=π/2で等号を確認する。下側はx=0での被積分関数の符号に合わせたε(t)∈{−1,1}を掛けて積分し,さらにf(π−x)=f(x)を併用して一様な下界5/2を作る。

解答

まず三角不等式よりf(x)≦∫0π∣sin⁡(t−x)∣ dt+∫0π∣sin⁡2t∣ dt=2+2=4.第1の積分はu=t−xとおけば,長さπの区間における∣sin⁡u∣の積分なので2である。x=π/2のときsin⁡(t−π2)sin⁡2t=−2sin⁡tcos⁡2t≦0であるから,ほとんどすべてのtで2項の符号が反対になり,上の三角不等式で等号が成り立つ。よって最大値は4である。

次にε(t)={−1(0≦t≦π3),1(π3<t≦π)とおく。∣ε(t)∣=1より,任意の実数yについて∣y∣≧ε(t)yである。したがってf(x)≧∫0πε(t){sin⁡(t−x)−sin⁡2t} dt.ここで直接計算すると∫0πε(t)sin⁡t dt=1,∫0πε(t)cos⁡t dt=−3,∫0πε(t)sin⁡2t dt=−32であるからf(x)≧32+cos⁡x+3sin⁡x.一方,もとの積分でt=π−uと置換するとf(π−x)=f(x)である。上の評価をπ−xに適用してf(x)≧32−cos⁡x+3sin⁡xも得る。ゆえにf(x)≧32+3sin⁡x+∣cos⁡x∣.0≦x≦π/2では3sin⁡x+cos⁡x=2sin⁡(x+π/6)≧1である。π/2≦x≦πでもy=π−xとおけば同じ評価が使える。したがって常にf(x)≧5/2である。最後に,x=0ではsin⁡t−sin⁡2tがt=π/3で符号を変えるのでf(0)=−∫0π/3(sin⁡t−sin⁡2t) dt+∫π/3π(sin⁡t−sin⁡2t) dt=52.対称性からf(π)=f(0)でもある。よって最小値は5/2である。

総評

難度8,計算量7。目安時間は34分。絶対値の符号変化点r=(π+x)/3を区間内で一意に決め,原始関数からf(x)を明示するのが標準解法である。別解では三角不等式の等号条件と,x=0での符号に合わせた補助関数による下側評価が採点の中心になる。可変上端・可変被積分関数を直接微分する大学範囲の公式には頼らない。最大値4と最小値5/2の両方について,実際に等号を達成するxまで確認して完答となる。

冊子PDFで見る東北大の積分の問題で問題集を作る

出典: 東北大学 2016年度 前期 数学(大学公式の問題PDF)。問題文はHTML表示のために再入力・数式組版しています。