方針
絶対値の中身をg(t)=sin(t−x)−sin2tとおき,和積公式で符号を調べる。0≦x≦π,0≦t≦πではsin((t+x)/2)≧0なので,符号変化はcos((3t−x)/2)=0から決まる。分点r=(π+x)/3で積分を分割し,原始関数を用いてf(x)を1つの三角関数に整理する。最後は角2x/3+π/6の範囲で最大・最小を読む。
解答
g(t)=sin(t−x)−sin2tとおく。和積公式よりg(t)=2cos23t−xsin(−2t+x)=−2sin2t+xcos23t−x.0≦x,t≦πではsin((t+x)/2)≧0である。符号変化点は23t−x=2π⟺r=3π+x,3π≦r≦32πであり,0≦t<rでg(t)≦0,r<t≦πでg(t)≧0となる。したがってf(x)=−∫0rg(t)dt+∫rπg(t)dt.原始関数は∫g(t)dt=−cos(t−x)+21cos2tであるからf(x)=−[−cos(t−x)+21cos2t]0r+[−cos(t−x)+21cos2t]rπ=2cos(r−x)−cos2r+1.ここでr−x=3π−2x,2r=32π+2xを代入して整理するとf(x)=3sin(32x+6π)+1.0≦x≦πでは角の範囲が6π≦32x+6π≦65πとなる。よってx=π/2のとき最大値4,x=0,πのとき最小値5/2をとる。
別解
解法2
方針
積分をパラメータで微分せず,絶対値の三角不等式と補助符号関数で上下から評価する。上側は∣a−b∣≦∣a∣+∣b∣を積分し,x=π/2で等号を確認する。下側はx=0での被積分関数の符号に合わせたε(t)∈{−1,1}を掛けて積分し,さらにf(π−x)=f(x)を併用して一様な下界5/2を作る。
解答
まず三角不等式よりf(x)≦∫0π∣sin(t−x)∣dt+∫0π∣sin2t∣dt=2+2=4.第1の積分はu=t−xとおけば,長さπの区間における∣sinu∣の積分なので2である。x=π/2のときsin(t−2π)sin2t=−2sintcos2t≦0であるから,ほとんどすべてのtで2項の符号が反対になり,上の三角不等式で等号が成り立つ。よって最大値は4である。
次にε(t)=⎩⎨⎧−11(0≦t≦3π),(3π<t≦π)とおく。∣ε(t)∣=1より,任意の実数yについて∣y∣≧ε(t)yである。したがってf(x)≧∫0πε(t){sin(t−x)−sin2t}dt.ここで直接計算すると∫0πε(t)sintdt=1,∫0πε(t)costdt=−3,∫0πε(t)sin2tdt=−23であるからf(x)≧23+cosx+3sinx.一方,もとの積分でt=π−uと置換するとf(π−x)=f(x)である。上の評価をπ−xに適用してf(x)≧23−cosx+3sinxも得る。ゆえにf(x)≧23+3sinx+∣cosx∣.0≦x≦π/2では3sinx+cosx=2sin(x+π/6)≧1である。π/2≦x≦πでもy=π−xとおけば同じ評価が使える。したがって常にf(x)≧5/2である。最後に,x=0ではsint−sin2tがt=π/3で符号を変えるのでf(0)=−∫0π/3(sint−sin2t)dt+∫π/3π(sint−sin2t)dt=25.対称性からf(π)=f(0)でもある。よって最小値は5/2である。
総評
難度8,計算量7。目安時間は34分。絶対値の符号変化点r=(π+x)/3を区間内で一意に決め,原始関数からf(x)を明示するのが標準解法である。別解では三角不等式の等号条件と,x=0での符号に合わせた補助関数による下側評価が採点の中心になる。可変上端・可変被積分関数を直接微分する大学範囲の公式には頼らない。最大値4と最小値5/2の両方について,実際に等号を達成するxまで確認して完答となる。
冊子PDFで見る東北大の積分の問題で問題集を作る
出典: 東北大学 2016年度 前期 数学(大学公式の問題PDF)。問題文はHTML表示のために再入力・数式組版しています。