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東北大学 2017年度 後期日程 第2次学力試験理系(後期)数学 第4問

1辺の長さが1の立方体ABCD-EFGHの辺上を動く点Mを考える。規則は次の通りである。

(i) 時刻0でMは頂点Aにある。

(ii) 各辺上での速さは1で,辺の途中では後戻りしない。

(iii) 各頂点では,その頂点を端点とする3本の辺から1本を確率13で選び,次の頂点へ移動し続ける。

(1) 時刻4,5でMが頂点Aにある確率をそれぞれ求めよ。

(2) 負でない整数nについて,時刻nMが頂点Aにある確率をnを用いて表せ。

(3) 時刻8でMが頂点Aにあるという条件のもとで,その時刻までに立方体のすべての頂点を通る条件付き確率を求めよ。

難易度8/ 10計算量7/ 10目安35

確率数列 確率漸化式状態分類数え上げ

方針

立方体の頂点を(0,0,0)から(1,1,1)までの0,1座標で表し,1回の移動は3つの座標のうち1つを反転する操作と見る。時刻nにAへ戻るには,各座標が偶数回ずつ反転されればよいので,3種類の記号からなる長さnの列で各記号の出現回数が偶数のものを数える。(3)は時刻8で全頂点を通るなら,A以外の7頂点をちょうど1回ずつ通るハミルトン閉路になるため,反転記号列の形を数える。

解答

頂点A(0,0,0)とし,隣り合う頂点への移動を,3つの座標のうち1つを反転する操作と考える。各時刻で3本の辺を等確率に選ぶので,長さnの移動列は全部で3n通りである。

(1) , (2)
時刻nAへ戻るための条件は,3つの座標がそれぞれ偶数回反転されることである。3種類の記号の出現回数がすべて偶数である長さnの列数をNnとする。偶奇を取り出す標準的な数え上げにより Nn=18{3n+31n+3(1)n+(3)n} である。したがって,求める確率PnPn=Nn3n=18{1+3(13)n+3(13)n+(1)n}である。

特にnが奇数のときはPn=0であり,nが偶数のときは Pn=14+343n である。よって P4=14+3434=727,P5=0 である。

(3)
時刻8にAへ戻る移動列の総数は 38P8=1641 である。

時刻8までにすべての頂点を通り,かつ時刻8にAにいるなら,時刻0と時刻8のAを除いて,残り7頂点をそれぞれ1回ずつ通る。つまり長さ8の閉路で全頂点を一周する場合を数えればよい。

反転する座標を1,2,3で表す。最初の2手は同じ座標を続けて選ぶとAに戻ってしまうので,相異なるi,jを選ぶ。残る座標をkとすると,全頂点を1回ずつ通って戻る列は,この最初のi,jに対して ijikijik,ijkjijkj の2通りである。ここで空白を詰めて書けば,それぞれ (i,j,i,k,i,j,i,k),(i,j,k,j,i,j,k,j) である。(i,j)の選び方は32=6通りなので,有利な移動列は 62=12 通りである。

したがって求める条件付き確率は 121641=4547 である。

別解

解法2

方針

頂点をAからの距離0,1,2,3の4層に分け,層間の遷移数からAへ戻る経路数の漸化式を作る。偶数時刻の閉路数を2次漸化式で解き,(3)は8手のハミルトン閉路を数える。

解答

Aから辺に沿った距離がrである頂点の層をLr (0r3)とする。Lrの各頂点からはr本がLr1へ,3r本がLr+1へ向かう。

(1) , (2) 長さnでAからAへ戻る経路数をNnとする。4層の経路数について上の遷移を順に書き,途中の3層を消去するとNn+4=10Nn+29Nnを得る。初期値はN0=1,N1=0,N2=3,N3=0である。奇数項はすべて0である。Mm=N2mとおくとMm+2=10Mm+19Mm,M0=1,M1=3.よってMm=9m+34.全経路は32m=9m通りなのでP2m=14+349m,P2m+1=0.特にP4=727,P5=0.(3) Aへ戻る8手の経路はN8=94+34=1641通りである。8手ですべての頂点を通るには,A以外の7頂点を各1回通るハミルトン閉路でなければならない。最初の方向は3通り,次は戻らない2通りであり,その各々に対して残りを巡る方法は2通りである。したがって有利な経路は322=12通りで,条件付き確率は121641=4547.

総評

難度8,計算量7。目安時間は35分。立方体の対称性を0,1座標と反転回数に翻訳できるかが勝負である。Aに戻る確率は,3種類の移動方向がすべて偶数回現れる列を数えると一気に求まる。(3)は条件付き確率なので分母を38にせず,Aへ戻る1641通りに限定することが重要である。全頂点通過は8手で余裕がないため,A以外を各1回ずつ通る閉路として12通りを数える。

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出典: 東北大学 2017年度 後期 数学(大学公式の問題PDF)。問題文はHTML表示のために再入力・数式組版しています。