方針
(1) は示したい差を,条件(b)で下から押さえられると,条件(a)から正になるに分ける。条件(a)は逆数をとってへ変形するのが決め手である。(2)は小さいを直接判定し,で不成立を確認した後,(1)をで用いて「ある整数で不成立なら次も不成立」をに伝播させる。
解答
(1)
示したい不等式の左辺との差を考える。対数の性質より であるから,である。
条件(b)より である。次に条件(a)を使う。なので, から,両辺の逆数をとって である。よって となる。なので,底の対数は増加関数であり, を得る。したがって である。
以上より となるから, が示された。
(2)
まず小さい正の整数を調べる。 は成り立たない。 であるから,は条件を満たす。
次にでは条件を満たさないことを示す。まず を確認する。これは すなわち と同値であり,より正しい。したがっては不成立である。
ここで,ある正の実数について かつ が成り立つなら,(1)をに適用できる。条件(b)はとして満たされ,条件(a)も満たされるので, が従う。
ではであり,またである。よって上の議論をに順に用いると,すべてのについて となる。したがって,条件を満たす正の整数は である。
別解
別解(対数を指数不等式へ戻す)
方針
(1) は条件(b)に1を加えて を作り、条件(a)から を示す。(2)は を に直し、以降では逆向きの不等式を帰納的に示す。
解答
(1) 条件(b)から一方、条件(a)を変形すると両辺は正なので2乗して を得る。 だから は増加関数であり、以上をつなげれば である。
(2) 条件はと同値である。 を調べると、成立するのは である。
では を帰納法で示す。 では である。 と仮定すると、 よりだからよってすべての で不成立であり、求める整数は である。
総評
【公式出題意図・講評との対応】 対数関数の理解と、やや見通しにくい条件を証明へ正しく組み込む力を問う問題である。公式講評では、(1)を増減表で処理して証明に失敗した答案、(2)で帰納法の使い方を誤った答案、整数を拾い切れない答案が指摘されている。本解説は条件(a)(b)の役割を別々に可視化し、帰納の開始点と推移を明示した。
難度5、計算量4、想定時間16分。標準解は対数差の分解、別解は と への変換であり、同じ結論を異なる見通しから確認できる。
【独立検算】 から までを直接比較し、成立が のみであること、 からの帰納不等式が厳密に閉じることを確認した。