方針
(1) は余り積分In=∫0an!(a−x)nexdxを置き,部分積分により In=an+1/(n+1)!+In+1 となることを示して帰納法で進める。(2) は 0≦x≦a で 1≦ex≦ea を用いて積分全体をはさむ。(3) は a=1 として誤差を余り積分で評価し,上限で n=6 が十分,下限で n=5 が不十分であることを確認する。
解答
(1) In=∫0an!(a−x)nexdxとおく。まず n=1 のとき,部分積分によりI1=∫0a(a−x)exdx=[(a−x)ex]0a+∫0aexdx=−a+(ea−1)=ea−1−aである。したがって ea=1+a+I1 となり,主張は成り立つ。
次に,ある n で ea=1+a+2!a2+⋯+n!an+In が成り立つと仮定する。In を部分積分するとIn=[n!(a−x)nex]0a+∫0a(n−1)!(a−x)n−1exdx=−n!an+In−1である。これを1段先の形で書けば In=(n+1)!an+1+In+1 である。実際,この等式は In+1 を部分積分することで得られる。
したがって仮定式に代入するとea=1+a+2!a2+⋯+n!an+(n+1)!an+1+In+1となり,n+1 でも成り立つ。よって数学的帰納法により,すべての正の整数 n で与えられた等式が成り立つ。
(2) 0≦x≦a では 1≦ex≦ea である。また (a−x)n/n!≧0 なので,両辺に掛けて積分すると∫0an!(a−x)ndx≦∫0an!(a−x)nexdx≦ea∫0an!(a−x)ndxである。ここで∫0an!(a−x)ndx=n!1[−n+1(a−x)n+1]0a=(n+1)!an+1である。よって(n+1)!an+1≦∫0an!(a−x)nexdx≦(n+1)!eaan+1が成り立つ。
(3)
(1) を a=1 に適用するとe−(1+1+2!1+⋯+n!1)=∫01n!(1−x)nexdxである。この右辺は正なので,絶対値はそのまま外せる。(2) より (n+1)!1≦誤差≦(n+1)!e である。 n=5 のとき,下限から 誤差≧6!1=7201>10−3 なので条件を満たさない。
一方 n=6 のとき,e<3 を用いると 誤差≦7!e<50403<10−3 である。したがって条件を満たす最小の正の整数は 6 である。
総評
難度7、計算量6。想定時間は24分程度。指数関数の近似を積分の余りで評価する問題である。(1) は部分積分を一度書くだけでなく,余りが次の項と次の余りに分かれる構造を明示することが重要である。(3) では上からの評価だけだと最小性が示せないため,下限で n=5 を除外する確認が必要になる。大学範囲の展開名を使わず,積分と不等式で完結させるのがよい。
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出典: 東北大学 2021年度 前期 数学(大学公式の問題PDF)。問題文はHTML表示のために再入力・数式組版しています。