Evolton

東北大学 2021年度 前期日程 第2次学力試験理系数学 第6問

以下の問いに答えよ。

(1) 正の実数aと正の整数nに対して次の等式が成り立つことを示せ。
ただし,eは自然対数の底とする。ea=1+a+a22!++ann!+0a(ax)nn!exdx(2) 正の実数aと正の整数nに対して次の不等式を示せ。an+1(n+1)!0a(ax)nn!exdxeaan+1(n+1)!(3) 不等式e(1+1+12!++1n!)<103を満たす最小の正の整数nを求めよ。
必要ならば2<e<3であることは証明なしに用いてもよい。

難易度7/ 10計算量6/ 10目安24

指数・対数積分 数学的帰納法、部分積分、不等式評価

方針

(1) は余り積分In=0a(ax)nn!exdxを置き,部分積分により In=an+1/(n+1)!+In+1 となることを示して帰納法で進める。(2) は 0xa1exea を用いて積分全体をはさむ。(3) は a=1 として誤差を余り積分で評価し,上限で n=6 が十分,下限で n=5 が不十分であることを確認する。

解答

(1) In=0a(ax)nn!exdxとおく。まず n=1 のとき,部分積分によりI1=0a(ax)exdx=[(ax)ex]0a+0aexdx=a+(ea1)=ea1aである。したがって ea=1+a+I1 となり,主張は成り立つ。

次に,ある nea=1+a+a22!++ann!+In が成り立つと仮定する。In を部分積分するとIn=[(ax)nn!ex]0a+0a(ax)n1(n1)!exdx=ann!+In1である。これを1段先の形で書けば In=an+1(n+1)!+In+1 である。実際,この等式は In+1 を部分積分することで得られる。

したがって仮定式に代入するとea=1+a+a22!++ann!+an+1(n+1)!+In+1となり,n+1 でも成り立つ。よって数学的帰納法により,すべての正の整数 n で与えられた等式が成り立つ。

(2) 0xa では 1exea である。また (ax)n/n!0 なので,両辺に掛けて積分すると0a(ax)nn!dx0a(ax)nn!exdxea0a(ax)nn!dxである。ここで0a(ax)nn!dx=1n![(ax)n+1n+1]0a=an+1(n+1)!である。よってan+1(n+1)!0a(ax)nn!exdxeaan+1(n+1)!が成り立つ。

(3)

(1)a=1 に適用するとe(1+1+12!++1n!)=01(1x)nn!exdxである。この右辺は正なので,絶対値はそのまま外せる。(2) より 1(n+1)!誤差e(n+1)! である。 n=5 のとき,下限から 誤差16!=1720>103 なので条件を満たさない。

一方 n=6 のとき,e<3 を用いると 誤差e7!<35040<103 である。したがって条件を満たす最小の正の整数は 6 である。

総評

難度7、計算量6。想定時間は24分程度。指数関数の近似を積分の余りで評価する問題である。(1) は部分積分を一度書くだけでなく,余りが次の項と次の余りに分かれる構造を明示することが重要である。(3) では上からの評価だけだと最小性が示せないため,下限で n=5 を除外する確認が必要になる。大学範囲の展開名を使わず,積分と不等式で完結させるのがよい。

冊子PDFで見る東北大の指数・対数の問題で問題集を作る

出典: 東北大学 2021年度 前期 数学(大学公式の問題PDF)。問題文はHTML表示のために再入力・数式組版しています。