Evolton

東京大学 1981年度 前期日程 第2次学力試験文系数学 第1問

A=(1331)とし,正の整数nについて
(xnyn)=An(10)とおく.
つぎに,aを実数とし,xy平面上の点(xn,yn)と点(a,0)との距離をdnとする.
このとき,dn+1>dnがすべての正の整数nに対して成り立つような,aの値の範囲を求めよ.

難易度5/ 10計算量5/ 10目安20

行列図形と方程式 回転・拡大、場合分け、範囲評価

方針

行列を複素数 1+3i の積と対応させ、点列を2倍拡大・
120 回転として表す。距離の2乗差を nmod3 ごとに比較する。

解答

行列 A は、複素数 z=x+iy に対して z(1+3i)z を行う変換と同じである。ここで 1+3i=2(cos2π3+isin2π3) であるから xn+iyn=2n(cos2nπ3+isin2nπ3) である。

(xn,yn)(a,0) との距離の2乗は dn2=(xna)2+yn2=xn2+yn22axn+a2 である。xn2+yn2=4n だから dn2=4n2axn+a2 である。したがって dn+12dn2=34n2a(xn+1xn) となる。dn,dn+1 は距離で非負なので、dn+1>dndn+12dn2>0 と同値である。 xn=2ncos(2nπ/3) を3つの場合に分ける。 n0(mod3) のとき xn=2n,xn+1=2n なので xn+1xn=2n+1 である。よって 34n+2a2n+1>0 となり、a>32n2 を得る。この範囲で最も厳しいのは最小の n=3 から a>6 である。 n1(mod3) のとき xn+1xn=2n1 であり、同様に a>32n を得る。最も厳しいのは n=1 で、やはり a>6 である。 n2(mod3) のとき xn+1xn=52n1 であるから 34n10a2n1>0 となる。したがって a<352n である。この範囲で最も厳しいのは n=2 から a<125 である。

以上を合わせて、求める範囲は 6<a<125 である。

別解

解法2(Aの3乗を利用)

方針

行列を直接掛けて A3=8I を確認し、n を3で割った余りごとに
(xn,yn) を求める。距離の2乗差の最も厳しい最初の条件を比較する。

解答

直接計算するとA2=(223232),A3=8I.したがって n=3m,3m+1,3m+2 に応じて(xn,yn)={(2n,0)(n0(mod3)),(2n1,32n1)(n1(mod3)),(2n1,32n1)(n2(mod3)).dn2=4n2axn+a2だからdn+12dn2=34n2a(xn+1xn).3つの剰余類で調べるとnmod3xn+1xn必要条件02n+1a>32n212n1a>32n252n1a<352nとなる。各列で最も厳しい最初の n はそれぞれ 3,1,2 なので6<a<125.

総評

難度は10段階中5、計算量は10段階中5程度。想定時間は16分から22分程度。行列を2倍拡大と120度回転として読み、xn の3周期を使う問題である。採点では、距離をそのまま比較せず dn2 に直すこと、n を3つの剰余類に分けること、各不等式で最も厳しい初期の n を選ぶことが重要である。下限は2つの剰余類から同じ 6 が出るので、片方だけ見て終わらないようにしたい。
\newpage

冊子PDFで見る東大の行列の問題で問題集を作る

出典: 東京大学 1981年度 前期 数学(大学公式の問題PDF)。問題文はHTML表示のために再入力・数式組版しています。