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東京大学 1985年度 前期日程 第2次学力試験文系数学 第1問

aba2+b20なる実数とし,
A=1a2+b2(a2ababb2)
I=(1001)とおく.
行列A3(IA)2の表す一次変換による点P(x,y)の像を,それぞれQRとする.
ただし,QRはいずれもPと一致しないものとする.

(1) QPRの大きさを求めよ.

(2) PQRの面積をabxyを用いて表せ.

難易度5/ 10計算量5/ 10目安20

行列ベクトル 図形的解釈内積の利用面積計算

方針

行列 A(a,b) 方向への正射影を表すことをまず確認する。すると A2=A(IA)2=IA となり,点 P は互いに垂直な2つの成分 QR に分解される。角は PQ=RPR=Q から直角と分かる。面積は2つの射影成分の長さを掛ければよい。

解答

(1) u=(ab)とおく。条件より u0 である。与えられた行列は A=1a2+b2uuT であり,これは点の位置ベクトルを u の方向へ正射影する一次変換である。

実際,A2=1(a2+b2)2u(uTu)uT=1a2+b2uuT=Aである。したがって A3=A,(IA)2=I2A+A2=IA である。

P(x,y) の位置ベクトルを p とすると q=Ap,r=(IA)p であり,p=q+r である。また A(IA)=AA2=0 だから,qr は直交する。問題の条件より QPRP なので,r0q0 であり,角はきちんと定まる。

ここでPQ=qp=r,PR=rp=qである。qr だから QPR=90 である。

(2) Q(a,b) 方向への射影であるから,その長さは OQ=ax+bya2+b2 である。また (a,b) に垂直な方向として (b,a) を取ると,R の長さは OR=bx+aya2+b2=aybxa2+b2 である。

(1) より PQRP を直角とする直角三角形であり,PQ=OR,PR=OQ である。したがって面積を S とするとS=12PQPR=12OROQ=(ax+by)(aybx)2(a2+b2)である。

別解

解法2

方針

(a,b) 方向とそれに垂直な方向を新しい直交座標軸に選ぶ。この座標では AIA はそれぞれ一方の成分だけを残す変換になるため、行列の累乗、角、面積が座標図だけで読める。

解答

(a,b) 方向と (b,a) 方向を単位化して、新しい直交座標軸とする。この座標で点 P の成分を (u,v) と書くとu=ax+bya2+b2,v=bx+aya2+b2.行列 A は第1成分だけを残す正射影だから、A3 も同じ作用をしQ=(u,0)となる。一方、IA は第2成分だけを残す正射影であり、(IA)2=IA だからR=(0,v)である。したがって、新しい直交座標ではP=(u,v),Q=(u,0),R=(0,v).(1) PQ は第2軸に平行、PR は第1軸に平行なのでQPR=90.(2) PQ=vPR=u だから、面積はS=12uv=(ax+by)(aybx)2(a2+b2).

総評

難易度は5,計算量は5程度である。想定時間は15分から22分程度。行列計算をそのまま3乗する問題ではなく,A が正射影であることを見抜くと一気に短くなる。条件 QPRP は直角三角形がつぶれないための条件なので,角や面積を述べる前に触れておきたい。面積では Q,R そのものではなく,P から見た辺 PQ,PR がそれぞれ反対側の射影成分の長さになる点が誤りやすい。

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出典: 東京大学 1985年度 第2次学力試験 数学。問題文はHTML表示のために再入力・数式組版しています。