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東京大学 1983年度 前期日程 第2次学力試験理系数学 第1問

行列A=(abcd)が表す xy 平面の1次変換 f が、次の条件 (1)、(2) をみたすとする。

(1) f は、任意の三角形をそれと相似な三角形にうつす。

(2) f は、点 (1,3) を点 (2,23) にうつす。

このような行列 A をすべて求めよ。

難易度6/ 10計算量5/ 10目安20

行列図形と方程式 図形的解釈回転・拡大文字消去

方針

標準基底の像を2本の列ベクトルとみる。直角二等辺三角形まで相似に移ることから、2本は等しい長さで直交する。向きを保つ型と反転する型に分け、指定された1点の像を代入する。最後に、得た行列がすべての長さを2倍することを確かめ、十分性も閉じる。

解答

(1)
行列 A の2本の列ベクトルをp=(ac),q=(bd)とする。原点、(1,0)(0,1) を頂点とする三角形は直角二等辺三角形である。条件 (1) より、その像も相似であるからp=q,pq=0となる。したがって、ある実数 u,v を用いてA=(uvvu)またはA=(uvvu)と書ける。

(2)
第1の型では、条件 (2) からu3v=2,v+3u=23であり、これを解いて u=1v=3 を得る。第2の型ではu+3v=2,v3u=23であり、u=2v=0 を得る。

よってA=(1331),A=(2002)である。どちらについても任意のベクトル x に対してAx=2xとなるので、任意の三角形を相似な三角形へ移す。指定された点の像も上の連立式で確認済みであり、2つとも条件を満たす。

第1の行列は「60 回転して2倍」、第2の行列は「y 軸対称にして2倍」

別解

解法2(複素数による分類)

方針

(x,y) を複素数 z=x+yi とみる。平面上のすべての図形の相似を保つ実一次変換は、向きを保つ zαz と、向きを反転する zβz の2型である。指定された点の像から αβ を直接求める。

解答

(1)
(x,y)z=x+yi と表す。条件 (1) を満たす一次変換は、向きを保つ場合zαzであり、向きを反転する場合zβzである。実際、どちらもすべての長さを一定倍し、角の大きさを保つ。逆に、標準基底の像が等長かつ直交するので、この2型以外はない。

(2)
条件 (2) は1+3i2+23iである。向きを保つ場合はα=2+23i1+3i=1+3iとなる。(1+3i)(x+yi)=(x3y)+(3x+y)i だからA=(1331).向きを反転する場合はβ=2+23i13i=2である。2z=2x+2yi だからA=(2002).したがって、求める行列はこの2つである。

総評

相似を保つ一次変換を、等長・直交する2本の列ベクトルへ翻訳できるかを問う。目安時間は20分。向きを保つ回転拡大型だけでなく、反転拡大型も残すことが最大の注意点である。列ベクトルによる解法と複素数による解法を照合し、2行列はいずれも倍率2、指定点の像も一致することを確認した。

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出典: 東京大学 1983年度 第2次学力試験 数学。問題文はHTML表示のために再入力・数式組版しています。