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東京大学 1993年度 前期日程 第2次学力試験理系数学 第6問

時刻tにおける座標がx=2cost+cos2t,y=sin2tで表されるxy平面上の点Pの運動を考える。

(1) Pの速さ,すなわち速度ベクトル(dxdt,dydt)の大きさの最大値と最小値を求めよ。

(2) t0t<2πの範囲を動く間にPが2回以上通過する点が唯一つ存在することを示し,
その点を通過する各々の時刻での速度ベクトルを求め図示せよ。

難易度7/ 10計算量7/ 10目安30

三角関数微分図形と方程式 微分による最大最小三角比の利用、パラメータ処理、軌跡

方針

(1) はまず速度ベクトルを微分で求め,速さそのものではなく二乗を c=cost の関数として整理する。1c1 上の3次式の最大・最小を微分で調べればよい。(2)は2つの時刻で同じ点を通ると仮定し,c=costd=cosu とおいて x 座標の等式を因数分解する。c=d の場合と c+d+1=0 の場合を分け,余分な候補を除く。最後に唯一の重複点 (1,0) を通る時刻で速度ベクトルを計算し,向きを図示できる形で列挙する。

解答

(1)

速度ベクトルは(dxdt,dydt)=(2sint2sin2t,2cos2t)である。c=cost とおくと,sin2t=2sintcostcos2t=2c21 より,速さの二乗は (2sint2sin2t)2+(2cos2t)2 =4(1c2)(1+2c)2+4(2c21)2 =16c34c2+16c+8 である。これを F(c) とおく。 1c1F(c)=48c28c+16=8(2c1)(3c+2) である。したがって調べる値は c=1,c=23,c=12,c=1 である。それぞれF(1)=4,F(23)=827,F(12)=13,F(1)=4となる。速さは速さの二乗の平方根であるから,最大値は 13 であり,最小値は 827=269 である。

(2) c=cost とおくと x=2c+cos2t=2c+2c21=2c2+2c1, y=sin2t=2csint である。2つの時刻 t,u で同じ点を通るとし,c=cost,d=cosu とおく。x 座標が等しいことから 2c2+2c1=2d2+2d1 であり,(cd)(c+d+1)=0 を得る。

まず c=d の場合を考える。異なる時刻で同じ余弦をもつなら,0t,u<2π では sinu=sint である。y 座標も等しいためには 2csint=2csinu=2csint が必要なので csint=0 である。異なる時刻を与えるのは c=0 のときで,このとき点は (x,y)=(1,0) である。

次に c+d+1=0 の場合を考える。すなわち d=1c である。y 座標の等しさから csint=dsinu である。両辺を2乗し,d=1csin2t=1c2sin2u=1d2 を用いると c2(1c2)=d2(1d2) である。左辺から右辺を引いて整理すると 2c(c+1)(2c+1)=0 となる。c=1/2d=c であり,異なる2時刻で同じ点を新しく与えない。c=0 または c=1 のときは,いずれも (x,y)=(1,0) である。

以上より,0t<2π の間に2回以上通過する点はただ一つ (1,0) である。この点を通る時刻は t=π2,t=π,t=3π2 である。

速度ベクトルは (2sint2sin2t,2cos2t) であるから,各時刻で t=π2:(2,2), t=π:(0,2), t=3π2:(2,2) となる。図では点 (1,0) に,左下向き,上向き,右下向きの3本の速度ベクトルをそれぞれ描けばよい。

別解

解法2

方針

(1) では微分後の速さの二乗を、最大値・最小値との差として完全に
因数分解し、微分を使わずに両端を評価する。(2)では
c=cost による2枝表示を作り、同じ x をもつ2点が
同じ y ももつ条件から自己交点だけを抽出する。

解答

(1)

c=cost と置く。速度ベクトルは(2sint2sin2t, 2cos2t)であり、速さの二乗を F(c) とするとF(c)=16c34c2+16c+8(1c1).これは次の2通りに因数分解できる。13F(c)=(2c1)2(4c+5)0,F(c)827=427(3c+2)2(12c13)0.後者では 12c13<0 を用いた。等号はそれぞれ
c=1/2c=2/3 で実現する。したがって速さの最大値は13,最小値は827=269である。

(2)

c=cost とするとx=2c2+2c1,y=2csint.同じ x を与える2つの余弦を c,d とすれば(cd)(c+d+1)=0.c=d で異なる時刻を取る場合、正弦の符号が逆になる。
y まで等しいためには csint=0 であり、新たな重複は
c=0、すなわち (1,0) だけである。

c+d+1=0 の場合は、y の等式を2乗するとc2(1c2)=d2(1d2).d=1c を代入して2c(c+1)(2c+1)=0.c=1/2c=d で新しい2時刻を与えず、c=0,1
いずれも (1,0) を与える。よって重複点は唯一
(1,0) である。

通過時刻と速度はt(dx/dt,dy/dt)π/2(2,2)π(0,2)3π/2(2,2)となる。

総評

難度7、計算量7、目安24〜28分。解法1は速さの二乗を微分し、解法2は最大・最小値との差を因数分解して同じ値を得た。自己交点では同じ x を与える c=dc+d+1=0 を両方調べ、唯一の点 (1,0) と3本の速度ベクトルを確認した。図は矢印の向きまで式と一致している。

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出典: 東京大学 1993年度 前期日程 第2次学力試験 理系 第6問。問題文はHTML表示のために再入力・数式組版しています。