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東京大学 1996年度 前期日程 第2次学力試験文系数学 第3問

xy平面上の点P(a,b)に対し,正方形S(P)を連立不等式xa12,yb12の表す領域として定め,原点とS(P)の点との距離の最小値をf(P)とする。

(2,1)を中心とする半径1の円周上をPが動くとき,f(P)の最大値を求めよ。

難易度6/ 10計算量4/ 10目安15

図形と方程式関数 座標設定、範囲評価、図形的解釈

方針

P(a,b) は中心 (2,1),半径1の円周上にあるので,正方形 S(P)x 方向では常に原点より右側にある。したがって原点に最も近い x 座標は a1/2 で決まる。一方,y 方向は b1/2 なら区間が 0 を含み,b>1/2 なら最も近い y 座標が b1/2 になる。この分岐を X=a1/2Y=b1/2 で整理し,Y0 では円周上の点と原点の距離,Y0 では X の最大を比較する。

解答

P(a,b)(a2)2+(b1)2=1 を満たす。よって 1a3,0b2 である。

正方形 S(P)x 座標は a12xa+12 を満たす。ここで a1 だから,この区間は正の側にあり,原点に最も近い x 座標は a1/2 である。

一方,y 座標は b12yb+12 を満たす。b1/2 ならこの区間は 0 を含むので,原点に最も近い y 座標は 0 である。b>1/2 なら区間全体が正の側にあるので,原点に最も近い y 座標は b1/2 である。

したがって X=a12,Y=b12 とおくと,(X,Y)(X32)2+(Y12)2=1 を満たし,f(P)2={X2(Y0),X2+Y2(Y0)である。Y=0 では二つの式は同じ値を与える。

まず Y0 の部分を考える。このとき f(P) は原点から円周上の点 (X,Y) までの距離である。円の中心は (32,12) で,その原点からの距離は(32)2+(12)2=102である。したがって三角形の辺の長さの関係より f(P)102+1 である。等号は,中心から原点と反対方向へ半径1だけ進んだ点 (32,12)+110(3,1) で成り立つ。この点は Y>0 を満たすので,実際に許される。

次に Y0 の部分を考える。このとき f(P)=X である。円周上で Y=0 とすると (X32)2+14=1 より,この部分での X の最大値は 32+32 である。これは 32+32<1+102 を満たす。

以上より,f(P) の最大値は 1+102 である。

別解

解法2

方針

円周上の点を三角関数で表し,正方形から原点までの距離をb1/2b1/2で分ける。後者では距離の2乗が3cosθ+sinθを含む形になるので,合成またはコーシーの不等式で最大化する。前者の最大候補と比較して結論する。

解答

円周上の点をP=(2+cosθ,1+sinθ)とおく。正方形の左端と下端に対応してX=32+cosθ,Y=12+sinθとおけば,f(P)2={X2(Y0),X2+Y2(Y0)である。

まずY0のとき,f(P)2=(32+cosθ)2+(12+sinθ)2=72+3cosθ+sinθ.ここで3cosθ+sinθ32+12=10である。等号はcosθ=310,sinθ=110のとき成り立ち,このときY>0なので許される。よってこの部分でf(P)272+10=(1+102)2.次にY0のときはf(P)=Xである。円(X32)2+(Y12)2=1Y0の部分でXが最大になるのはY=0のときであり,X32+32<1+102.したがって全体の最大値は1+102である。

総評

正方形と原点の距離を,座標ごとの最近点として処理する問題である。難易度は6,計算量は4程度で,想定時間は15分前後。注意点は,x 方向は常に左端で決まるのに対し,y 方向は b=1/2 を境に式が変わることである。Y0 の最大は「円の中心までの距離+半径」で読めるが,その最大点が実際に Y0 側にある確認を落とさないこと。最後に Y0 側の候補と比較すれば,場合分けの取りこぼしを防げる。 2解法の結論を相互照合し,定義域,端点,場合分け,図示範囲を確認した。

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出典: 東京大学 1996年度 前期日程 第2次学力試験 文系 前期 第3問。問題文はHTML表示のために再入力・数式組版しています。