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東京大学 1997年度 前期日程 第2次学力試験理系数学 第4問

正三角形ABCの頂点Aから辺ABとのなす角がθの方向に,
三角形の内部に向かって出発した光線を考える.
ただし0<θ<60とする.
この光線は三角形の各辺で入射角と反射角が等しくなるように反射し,
頂点に達するとそこでとまるものとする.
また,三角形の内部では光線は直進するものとする.

(1) tanθ=34のとき,
この光線はどの頂点に到達するかを述べよ.

(2) 正の整数kを用いてtanθ=36k+2と表せるとき,
この光線の到達する頂点を求め,
またそこへ至るまでの反射の回数をkを用いて表せ.

難易度7/ 10計算量5/ 10目安22

図形と方程式三角関数整数 図形的解釈座標設定数え上げ、場合分け

方針

反射を扱う代わりに、正三角形を辺で次々に反射して平面を三角格子で敷きつめる。この展開図では光線は一直線に進む。格子点をAB方向にi歩、60方向にj歩進んだ点として表すと、その点へ向かう傾きは3j2i+jである。与えられたtanθと比較して最初に到達する格子点を求め、格子点の頂点ラベルの周期と、途中で横切る格子線の本数から到達頂点と反射回数を読む。

解答

(1)
正三角形を、光線が当たる辺で次々に反射して平面を敷きつめる。すると、元の三角形内で反射しながら進む光線は、展開図の中では一直線として進む。

格子点を、辺ABの方向にi歩、60方向にj歩進んだ点として表す。この点の座標は、辺の長さを1とすれば (i+j2,32j) である。したがって、原点Aからこの格子点へ向かう直線の傾きは 32ji+j2=3j2i+j である。

いま tanθ=34 なので 3j2i+j=34 である。よって 4j=2i+j,2i=3j となる。最初に到達する格子点は、正の整数解のうち最小の (i,j)=(3,2) である。

格子点の頂点ラベルは周期的に現れる。(i,j)に対してi+2jを3で割った余りが、0ならA、1ならB、2ならCに対応する。ここでは 3+22=71(mod3) であるから、この格子点は元の三角形の頂点Bに対応する。したがって光線は B に到達する。

(2)
同様に tanθ=36k+2 であるから 3j2i+j=36k+2 である。よって (6k+2)j=2i+j すなわち 2i=(6k+1)j である。6k+1は奇数なので、最初の正の整数解は (i,j)=(6k+1,2) である。

この格子点について i+2j=(6k+1)+4=6k+52(mod3) であるから、到達する頂点は C である。

次に反射回数を数える。展開図では、反射回数は始点から到達点までの直線が途中で横切る三角格子の辺の本数に等しい。(i,j)=(6k+1,2)では、途中で格子点を通らないので、3方向の格子線について単純に数えればよい。

横切る本数は、AB方向に平行な格子線でj1本、60方向に平行な格子線でi1本、残りの方向の格子線でi+j1本である。したがって反射回数は (j1)+(i1)+(i+j1) である。i=6k+1, j=2を代入すると (21)+(6k+11)+(6k+1+21)=12k+3 である。よって反射回数は 12k+3 である。

別解

解法2(三角格子の3座標で数える)

方針

展開図の格子点を、2本の基本ベクトルに沿う整数座標 (p,q) で表す。傾きから最初に到達する格子点を求め、頂点の種類は p+2q の3での余りで判定する。反射回数は、線分が横切る3族の格子線 p=整数, q=整数, p+q=整数 を別々に数える。

解答

一辺を1とし、展開図の格子点を(p,q)(p+q2,3q2)と表す。原点 A からこの点へ向かう直線の傾きは3q2p+qである。

(1) 3q2p+q=34より 2p=3q である。最小の正整数解は(p,q)=(3,2)である。格子点が元のどの頂点に重なるかはp+2q(mod3)で決まり、余り 0,1,2 がそれぞれ A,B,C に対応する。ここではp+2q=71(mod3)なので、到達する頂点は B である。

(2) 3q2p+q=36k+2より2p=(6k+1)q.6k+1 は奇数だから、最小の正整数解は(p,q)=(6k+1,2)である。このときp+2q=6k+52(mod3)なので、到達する頂点は C である。

次に反射回数を数える。三角格子の辺は、格子座標ではp=整数,q=整数,p+q=整数という3族に分かれる。始点と終点を除くと、線分が横切る本数はそれぞれp1,q1,p+q1である。本問では gcd(p,q)=1 で、途中の格子点を通らないため重複はない。

従って反射回数は(p1)+(q1)+(p+q1)である。p=6k+1, q=2 を代入して12k+3を得る。

総評

難度7、計算量5。目安時間は22分。反射を直接追うのではなく、正三角形を反射して三角格子に展開することが核心である。傾き3j2i+jの作り方、格子点の頂点対応をi+2jの3での余りで読むこと、反射回数を横切った格子線の本数として数えることが採点ポイントになる。途中で格子点を通る場合は数え方が変わるが、本問の(6k+1,2)ではその心配がない。 2解法の数式と最終結論を相互照合し、原典本文との対応、小問の完答、境界条件、図の読み取りを再確認した。

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出典: 東京大学 1997年度 第2次学力試験 数学。問題文はHTML表示のために再入力・数式組版しています。