方針
まず t=a−1/a とおき、a が入る場所を x−t の平行移動成分だけに集約する。導関数は2次式になり、3次関数の極大値と極小値の差は、導関数が負になる区間で −f′(x) を足し合わせることで求められる。したがって、極値を直接代入するのではなく、導関数の2つの零点 α<β とその間隔 β−α を求める。最後は差が t2 の増加関数になることを確認し、a−1/a=0 を解く。
解答
t=a−1/a とおく。すると f(x)=(3x2−4)(x−t) である。これを展開して微分すると f′(x)=9x2−6tx−4 となる。 f′(x)=0 の2つの解を α<β とする。解の公式より α=3t−t2+4,β=3t+t2+4 である。よって β−α=32t2+4 である。
導関数 f′(x) は上に開く2次式であり、α<x<β では負である。したがって x=α で極大、x=β で極小をとる。極大値と極小値の差はf(α)−f(β)=−∫αβf′(x)dx.である。また f′(x)=9(x−α)(x−β) だから、h=β−α とおき、x=α+u とすれば−∫αβ9(x−α)(x−β)dx=−9∫0hu(u−h)du=9∫0h(hu−u2)du=9(2h3−3h3)=23h3である。したがってf(α)−f(β)=23(32t2+4)3=94(t2+4)3/2となる。
これは t2 が小さいほど小さく、最小になるのは t=0 のときである。すなわち a−a1=0 であり、a=0 なので両辺に a を掛けて a2−1=0 を得る。よって a=1, −1 である。
別解
解法2(平行移動して極値を直接比較)
方針
導関数の2根を使わず、t=a−1/a と置いた後に x=u+t/3 と平行移動する。2次項が消えた3次関数では停留点が原点対称に現れるため、2つの極値を直接代入して差を求める。
解答
t=a−1/a とおくとf(x)=3x3−3tx2−4x+4tである。ここでx=u+3tと平行移動する。展開して u によらない項を C とまとめるとf(u+3t)=3u3−(t2+4)u+Cとなる。
u で微分すれば9u2−(t2+4)=0だから、停留点はu=±s,s=3t2+4である。3次の係数が正なので u=−s で極大、u=s で極小となる。
t2+4=9s2 を使うとf(−s+t/3)f(s+t/3)=−3s3+9s3+C=6s3+C,=3s3−9s3+C=−6s3+C.従って極大値と極小値の差は12s3=94(t2+4)3/2.これは t2 が最小のとき、すなわち t=0 のときに最小となる。a−a1=0より a2=1 であるから、求める値はa=1, −1である。
総評
難度5、計算量4。目安時間は12分。a−1/a を1文字に置くと、問題は3次関数の極大値と極小値の差を導関数の2根の間隔で表す問題に変わる。極値を直接代入すると式が長くなるため、導関数が負の区間の面積として差を出すのが安定する。採点上は、f′(x) の符号からどちらが極大・極小かを確認すること、最後に a=0 の条件のもとで a=±1 を両方残すことが重要である。 2解法の数式と最終結論を相互照合し、原典本文との対応、小問の完答、境界条件、図の読み取りを再確認した。
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出典: 東京大学 1998年度 第2次学力試験 数学。問題文はHTML表示のために再入力・数式組版しています。