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東京大学 2003年度 前期日程 第2次学力試験理系数学 第5問

さいころをn回振り,
第1回目から第n回目までに出たさいころの目の数n個の積をXnとする。

(1) Xnが5で割り切れる確率を求めよ。

(2) Xnが4で割り切れる確率を求めよ。

(3) Xnが20で割り切れる確率をpnとおく。limn1nlog(1pn)を求めよ。

注意:さいころは1から6までの目が等確率で出るものとする。

難易度6/ 10計算量5/ 10目安20

確率数列指数・対数整数 余事象、状態分類、素因数分解、包除原理、極限計算

方針

積が5で割り切れるかは「5の目が少なくとも1回出るか」で決まる。(2)は4で割り切れない余事象を、積に含まれる2の因数の総数が0個または1個である場合として数える。(3)は 20=45 なので、1pn を「5が一度も出ない」または「4で割り切れない」の和事象として包除原理で表す。最後は (5/6)n が最も減り方の遅い項であることを、割り算して確認してから対数の極限を取る。

解答

(1) Xn が5で割り切れるためには、n 回のうち少なくとも1回は5の目が出ればよい。逆に、5の目が一度も出なければ Xn は5で割り切れない。

したがって余事象を用いて P(Xn が5で割り切れる)=1(56)n である。

(2)
Xn が4で割り切れるかどうかは、積に含まれる2の因数の個数で決まる。さいころの目を2の因数の個数で分けると、1,3,5は2の因数を0個含む, 2,6は2の因数を1個含む, 4は2の因数を2個含む である。 Xn が4で割り切れないのは、2の因数の総数が0個または1個の場合である。総数が0個となる確率は (36)n=(12)n である。総数が1個となるには、n 回のうち1回だけ 2,6 のどちらかが出て、残りは 1,3,5 のいずれかであればよい。したがってその確率はn26(36)n1=n13(12)n1である。

よってP(Xn が4で割り切れない)=(12)n+n13(12)n1だから、求める確率は1(12)nn13(12)n1である。

(3) Xn が20で割り切れることは、5で割り切れ、かつ4で割り切れることと同値である。したがって Xn が20で割り切れない事象は A:5が一度も出ない または B:4で割り切れない の少なくとも一方が起こる事象である。

(1) , (2)の余事象の計算から P(A)=(56)n であり、P(B)=(12)n+n13(12)n1 である。

次に AB を数える。5が出ないという条件のもとで、2の因数の総数が0個または1個であればよい。2の因数を含まない目は 1,3 の2個、2の因数をちょうど1個含む目は 2,6 の2個である。したがって、総数0個の確率は (26)n=(13)n であり、総数1個の確率は n26(26)n1=n(13)n である。よって P(AB)=n+13n である。

包除原理より 1pn=P(AB)=P(A)+P(B)P(AB) であるから1pn=(56)n+(12)n+n13(12)n1n+13nである。

ここで右辺を (5/6)n で割ると1pn(5/6)n=1+(35)n+2n3(35)n1(n+1)(25)nである。右辺の第2項以降はいずれも0に近づくので 1pn(5/6)n1 である。したがって log(1pn)=nlog56+log(1pn(5/6)n) であり、第2項を n で割ったものは0に近づく。よってlimn1nlog(1pn)=log56である。

別解

解法2(2の指数の母関数で一括計算)

方針

各さいころの目が含む2の因数の個数を 0,1,2 に分類し、
その回数分布を多項式の係数で数える。5を含まない場合の多項式も用意すると、
包除原理の交差項まで同じ枠組みで得られる。

解答

(1)
5の倍数になるのは、少なくとも1回 5 が出る場合である。よってP(5Xn)=1(56)n.(2)
1回の出目に含まれる2の因数の個数を指数として、多項式F(z)=3+2z+z26を考える。定数項の 31,3,5z の係数 2
2,6z2 の係数 14 に対応する。
F(z)nzk の係数は、Xn が2の因数をちょうど
k 個含む確率である。

4で割り切れない確率は z0,z1 の係数の和だから(12)n+n13(12)n1.したがってP(4Xn)=1(12)nn3(12)n1.(3)
A を「5が出ない」、B を「4で割り切れない」とする。
5を除いた出目だけを数える多項式はG(z)=2+2z+z26.したがって AB の確率は G(z)nz0,z1
係数の和であり、P(AB)=(13)n+n13(13)n1=n+13n.包除原理から1pn=(56)n+(12)n+n3(12)n1n+13n.(5/6)n で割った比は 1 に収束するのでlog(1pn)=nlog56+o(n).ゆえにlimn1nlog(1pn)=log56.

総評

割り切れ条件を素因数の個数として数える問題である。目安時間は15〜20分。(2)は4で割り切れる場合を直接数えるより、2の因数が0個または1個しかない余事象を数える方が簡単である。(3)では 20=45 を使い、1pn を包除原理で表すのが自然な流れになる。最後の極限では、単に「最大の項」と書くだけでなく、(5/6)n で割って残りが1に近づくことを示すと答案として明確である。

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出典: 東京大学 2003年度 前期 数学。問題文はHTML表示のために再入力・数式組版しています。