方針
円周率の下からの評価なので、半径1の円に内接する正多角形の周長を使う。正12角形なら一辺は 2sin15∘ で、円周 2π はその周長より大きいから π>12sin15∘ となる。加法定理で 12sin15∘=3(6−2) とし、最後は 6 を下から、2 を上から有理数で評価して、差が3.05を超えることを分数で示す。
解答
半径1の円を考える。この円の円周は 2π である。
この円に内接する正12角形をとる。中心角は 12360∘=30∘ であるから、正12角形の一辺の長さは 2sin15∘ である。内接多角形の周の長さは円周より小さいので 12⋅2sin15∘<2π である。したがって π>12sin15∘ を得る。
次に sin15∘ を求める。加法定理より sin15∘=sin(45∘−30∘) =sin45∘cos30∘−cos45∘sin30∘=22⋅23−22⋅21=46−2である。よって π>12⋅46−2=3(6−2) である。
ここで根号を分数で評価する。 (922)2=81484<81486=6 だから 6>922 である。また (1217)2=144289>144288=2 だから 2<1217 である。したがって6−2>922−1217=3688−51=3637であり、π>3(6−2)>3⋅3637=1237 である。
最後に 1237>120366=2061=3.05 である。よって π>3.05 が示された。
別解
解法2(定積分を多項式で下から評価)
方針
π/4=∫01(1+x2)−1dxを用いる。
有限等比級数の余りの符号から被積分関数を12項の多項式で下から押さえ、
積分後は6つの正の分数を簡単な千分率で評価する。
解答
4π=∫011+x21dxである。有限等比級数の公式から1+x21=1−x2+x4−⋯+x20−x22+1+x2x24.0≦x≦1 では最後の項が非負だから1+x21≧1−x2+x4−⋯+x20−x22.よって4π>1−31+51−71+⋯+211−231=32+352+992+1952+3232+4832.各項を下から評価すると32>1000666,352>100057,992>100020,1952>100010,3232>10006,4832>10004.したがって4π>1000763>8061.両辺を4倍してπ>2061=3.05を得る。
総評
円周率を下から示す証明なので、内接多角形の周長を使う発想が自然である。目安時間は8〜12分。正12角形を選ぶと 15∘ の三角比に帰着し、加法定理と根号の分数評価だけで3.05を超えられる。採点上は、内接多角形の周長が円周より小さい向き、6 は下から評価し 2 は上から評価する向き、最後の 37/12>61/20 の分数比較を明確にすることが重要である。小数近似だけで済ませると証明として弱くなる。
冊子PDFで見る東大の三角関数の問題で問題集を作る
出典: 東京大学 2003年度 前期 数学。問題文はHTML表示のために再入力・数式組版しています。