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東京大学 2007年度 前期日程 第2次学力試験理系数学 第1問

nkを正の整数とし,P(x)を次数がn以上の整式とする.
整式(1+x)kP(x)n次以下の項の係数がすべて整数ならば,P(x)n次以下の項の係数は,すべて整数であることを示せ.
ただし,定数項については,項それ自身を係数とみなす.

難易度5/ 10計算量3/ 10目安15

数と式論証・証明 数学的帰納法、二項定理、恒等式比較

方針

P(x) の低次係数を aj(1+x)kP(x) の低次係数を bj とおく。xj の係数 bjaj と,それより低い aj1,aj2, の整数係数つき和で表される。したがって j=0 から順に,すでに整数と分かった係数を差し引いて aj が整数であることを示す。高次の項は xj の係数に影響しないため,n 次以下だけで閉じた帰納法になる。

解答

P(x)xj の係数を aj(1+x)kP(x)xj の係数を bj とおく。仮定より b0,b1,,bn はすべて整数である。 (1+x)k を掛けたときの xj の係数は,P(x)j 次以下の係数だけから決まる。具体的には,0jn についてbj=aj+i=1min(k,j)kCiajiである。

まず j=0 では b0=a0 であるから,a0 は整数である。

次に,ある j について a0,a1,,aj1 がすべて整数であると仮定する。このときi=1min(k,j)kCiajiは整数である。また bj も整数であるからaj=bji=1min(k,j)kCiajiは整数である。

よって数学的帰納法により,a0,a1,,an はすべて整数である。したがって P(x)n 次以下の項の係数はすべて整数である。

係数関係は三角型で、b0 から順に aj を復元できる。

別解

解法2(逆多項式を有限次数で作る)

方針

(1+x)kn 次までの係数がすべて整数であることを使う。有限多項式 Rn(x) を作り、(1+x)kRn(x)1(modxn+1) から、P の低次部分を整数係数多項式の積として復元する。

解答

Rn(x)=j=0n(1)jk+j1Cjxjとおく。負の指数の二項展開を公式として使わずとも、係数を順に比較
すれば(1+x)kRn(x)=1+xn+1S(x)を満たすある多項式 S(x) が存在することを帰納的に確かめられる。
特に Rn(x) の係数はすべて整数である。

Q(x)=(1+x)kP(x) とおく。仮定により Q(x)n 次以下の
係数は整数である。上式を P(x) に掛けるとRn(x)Q(x)=Rn(x)(1+x)kP(x)=P(x)+xn+1S(x)P(x).したがって P(x)Rn(x)Q(x)n 次以下の係数が一致する。
一方、Rn の係数と Qn 次以下の係数は整数なので、
その積の n 次以下の係数も整数である。よって P(x)
n 次以下の係数はすべて整数である。

総評

難度5,計算量3。低次から順に係数を復元する三角型の議論である。(1+x)k の定数項が 1 であるため,bj の中に aj が係数 1 で現れることが決定的である。高次の係数を気にし始めると見通しが悪くなるが,xj の係数には a0 から aj までしか関与しない。10分程度で,帰納法の仮定と差し引く整数和を明確に書きたい。

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出典: 東京大学 2007年度 前期 数学(大学公式の問題PDF)。問題文はHTML表示のために再入力・数式組版しています。