方針
定積分条件では,x の一次の項は [−1,1] 上で積分すると消えるため,まず αβ だけが決まる。この条件から αβ=61 を得るので,α=0 は起こらず,β=6α1 として S を α だけの式に直す。最後に,条件 0≦α≦β は α2≦61 という上限を与える。最大値はこの範囲で得た三次式の増減を調べ,端点で等号条件 α=β=61 が実現することまで確認する。
解答
与えられた条件を計算する。[−1,1] では奇関数の積分が 0 になるので,∫−11{x2−(α+β)x+αβ}dx=∫−11x2dx−(α+β)∫−11xdx+αβ∫−111dx=32+2αβ.これが 1 に等しいから,αβ=61 である。したがって α=0 は条件に反し,α>0 である。また β=6α1 と表せる。
次に S を計算する。S=∫0α{x2−(α+β)x+αβ}dx=[3x3−2α+βx2+αβx]0α=3α3−2(α+β)α2+α2β=(31−21)α3+(−21+1)α2β=−6α3+2α2β.ここで αβ=61 より α2β=6α だから,S=−6α3+12α=12α−2α3 である。
残るのは α の範囲である。0<α≦β と αβ=61 から α2≦αβ=61 であり,0<α≦61 である。この範囲でdαd(12α−2α3)=121−6α2となる。いま 0<α≦61 では 1−6α2≧0 であるから,S はこの範囲で単調に増加する。
よって最大値は α=61 のときに得られる。このとき β=6α1=61 であり,条件 α≦β も満たす。最大値は121(61−2⋅661)=121⋅362=1861である。
総評
定積分条件が αβ だけを決めることに気づけるかが最初の分岐である。想定時間は10分から15分程度で,難易度は5,計算量は4程度。得点差がつくのは最大値計算そのものよりも,α=0 を除外すること,α≦β から α≦1/6 を導くこと,最大となる端点で実際に α=β が実現できることを明記する部分である。三次式の微分は短いが,定義域を先に確定しないまま最大値を述べると減点されやすい。
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出典: 東京大学 2008年度 前期 文科 数学(大学公式の問題PDF)。問題文はHTML表示のために再入力・数式組版しています。