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東京大学 2010年度 前期日程 第2次学力試験理系数学 第1問

3辺の長さがabcの直方体を,
長さがbの1辺を回転軸として90回転させるとき,
直方体が通過する点全体がつくる立体をVとする。

(1) Vの体積をabcを用いて表せ。

(2) a+b+c=1のとき,Vの体積のとりうる値の範囲を求めよ。

難易度6/ 10計算量5/ 10目安25

積分図形と方程式 体積計算図形的解釈微分による最大最小、範囲評価

方針

回転軸に垂直な断面で考える。直方体の断面は辺の長さ a,c の長方形であり,それを1つの頂点のまわりに 90 回転した掃過面積を求めればよい。断面積は,長方形部分 ac と,対角線長を半径とする90度扇形部分 π(a2+c2)/4 の和になる。値域は s=a+c とおき,a,c>0 による ac の範囲と b=1s を使って上限を調べる。

解答

(1) 長さ b の辺を回転軸としているので,この軸に垂直な断面を考える。各断面では,辺の長さが a,c の長方形が,その1つの頂点を中心として 90 回転する。

この長方形の対角線の長さを d=a2+c2 とする。長方形が回転して通過する領域は,もとの長方形の面積 ac に加えて,対角線の先端が描く半径 d,中心角 90 の扇形部分を含む。断面の掃過領域の面積は ac+14πd2=ac+π4(a2+c2) である。

この断面が回転軸方向に長さ b だけ続くので,求める体積は V=b{ac+π4(a2+c2)} である。

(2) s=a+c とおく。a,b,c>0a+b+c=1 だから 0<s<1,b=1s である。また a2+c2=(a+c)22ac=s22ac なのでac+π4(a2+c2)=ac+π4(s22ac)=π4s2(π21)ac.ここで π21>0,ac>0 であるから ac+π4(a2+c2)<π4s2 である。したがって V=(1s){ac+π4(a2+c2)}<π4(1s)s2. 関数 g(s)=(1s)s2(0<s<1) を考えると g(s)=2s(1s)s2=s(23s) である。よって g(s)s=23 で最大となり,その値は g(23)=1349=427 である。したがって V<π4427=π27 である。また体積なので V>0 である。

上端と下端が実際に近づけられることも確認する。s2/3 に近づけ,かつ a,c の一方を0に近づければ,ac は0に近づき,Vπ27 にいくらでも近づく。一方,b を0に近づける,または s を0に近づければ,V は0にいくらでも近づく。領域 a,b,c>0a+b+c=1 は連結で,V は連続に変化するから,その間の値もすべてとる。

よって体積のとりうる値の範囲は 0<V<π27 である。

回転軸に垂直な断面

長方形の掃過面積を求め、軸方向の長さ b を掛ける。

別解

解法2(極角ごとの最大半径)

方針

回転軸に垂直な ac 長方形を極座標で見る。長方形の対角線がなす角を α とし、90度の掃過後に各極角方向へ到達する最大半径を3区間に分けて面積積分する。

解答

(1) 回転軸を原点とする断面で、もとの長方形を0xa,0ycとおく。対角線の長さを d=a2+c2、対角線の偏角を α とすればtanα=ca.長方形を反時計回りに90度掃過した領域を、原点からの極角 ϕ で切る。各方向の最大半径はρ(ϕ)={acosϕ(0ϕα),d(αϕα+π2),ccosϕ(α+π2ϕπ).中央の区間では、回転中のどこかで長方形の対角線がその方向を向くため、半径 d まで届く。

したがって断面積 TT=120αa2cos2ϕdϕ+12αα+π/2d2dϕ+12α+π/2πc2cos2ϕdϕ=ac2+πd24+ac2=ac+π4(a2+c2).よってV=bT=b{ac+π4(a2+c2)}.(2)  s=a+c とおくと b=1s かつ 0<s<1 であり、T=π4s2(π21)ac<π4s2.したがってV<π4(1s)s2π27.最後の等号候補は s=2/3 だが、その前の不等式で ac>0 を用いたため上端は達成しない。一方、a または c を0へ近づけつつ s2/3 とすれば上端へ近づく。体積は常に正で、b0 なら0へ近づく。連続性も合わせて0<V<π27である。

総評

難度は10段階中6、計算量は10段階中5。目安時間は25分程度で、3次元の運動を回転軸に垂直な同一断面へ落とせるかが中心である。長方形の掃過面積は、幾何分解でも極角ごとの最大半径でも同じ式になる。

値域では a,b,c>0 が重要である。上限 π/27ac=0 を要求するため達成せず、0も体積が正なので達成しない。両端へ近づく具体的な取り方と連続性まで述べて、単なる上界評価ではなく開区間全体が値域であることを示す。

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出典: 東京大学 2010年度 前期 数学(大学公式の問題PDF)。問題文はHTML表示のために再入力・数式組版しています。