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東京大学 2009年度 前期日程 第2次学力試験理系数学 第1問

自然数m2に対し,m1個の二項係数mC1,mC2,,mCm1を考え,これらすべての最大公約数をdmとする。
すなわちdmはこれらすべてを割り切る最大の自然数である。

(1) mが素数ならば,dm=mであることを示せ。

(2) すべての自然数kに対し,kmkdmで割り切れることを,kに関する数学的帰納法によって示せ。

(3) mが偶数のときdmは1または2であることを示せ。

難易度7/ 10計算量6/ 10目安25

整数場合の数論証・証明 二項定理、数学的帰納法、素因数分解、場合分け

方針

(1) (2)は文系第2問と同じ構造で,素数の場合はrmCr=mm1Cr1,帰納法では二項定理を使う。(3)ではdmに含まれ得る素因数を調べる。奇素数pについてはm=pqvと書き,特定の二項係数mCpqpで割り切れないことを,分子と分母に現れるpの個数を比較して示す。さらに2について,m=2qvv>1なら奇数の二項係数を作り,m=2qなら4で割り切れない二項係数を作る。

解答

(1)

mを素数とする。1rm1ではrmは互いに素である。二項係数には rmCr=mm1Cr1 という関係があるので,rmCrmで割り切れる。rmが互いに素であるから,mCrmで割り切れる。

よってmC1,mC2,,mCm1はすべてmの倍数である。一方でmC1=mであるから,これらの最大公約数はmを超えられない。したがって dm=m である。

(2)

k=1のときは 1m1=0 なのでdmで割り切れる。

ある自然数kについてkmkdmで割り切れると仮定する。二項定理より(k+1)m=km+mC1k+mC2k2++mCm1km1+1であるから(k+1)m(k+1)=kmk+mC1k+mC2k2++mCm1km1である。右辺第1項は帰納法の仮定によりdmで割り切れる。また,dmの定義により各mCrdmで割り切れる。したがって右辺全体がdmで割り切れる。

ゆえに(k+1)m(k+1)dmで割り切れる。数学的帰納法により,すべての自然数kに対して kmk は dm で割り切れる ことが成り立つ。

(3)

mを偶数とする。まず,dmが奇素数を約数にもたないことを示す。pmを割る奇素数とし,mを割るpの最大の累乗をpqとする。すなわち m=pqv と書き,vpで割り切れないとする。mは偶数でpは奇素数なので,pq<mであり,mCpqdmを考える並びの中に含まれる。

この二項係数をmCpq=m(m1)(m2)(mpq+1)pq(pq1)(pq2)1と書き,先頭のm/pq=vを外すとmCpq=v(m1)(m2)(mpq+1)(pq1)(pq2)1である。

1jpq1について,jpでちょうどe回割り切れるとする。このときe<qであり,mj=pqvjpでちょうどe回割り切れる。したがって積 (m1)(m2)(mpq+1) に含まれるpの個数は,(pq1)(pq2)1 に含まれるpの個数と等しい。さらにvpで割り切れない。よってmCpqpで割り切れない。したがってdmは奇素数を約数にもたない。

次に2の因数を調べる。m=2qvと書き,vを奇数とする。v>1の場合,mC2qを考えると,同様にmC2q=v(m1)(m2)(m2q+1)(2q1)(2q2)1である。1j2q1についてmjjに含まれる2の個数は等しく,vは奇数である。したがってmC2qは奇数である。この場合,dmは奇素数も2も約数にもたないので dm=1 である。

残るのはm=2qの場合である。このときmは偶数なのでq1である。m=2なら並びは2C1=2だけなのでd2=2である。以下m4とする。mCm/2を考えるとmCm/2=2(m1)(m2)(m/2+1)(m/21)(m/22)1である。ここでも1jm/21についてmjjに含まれる2の個数は等しいので,分数部分は奇数である。したがってmCm/2は2で割り切れるが4では割り切れない。

以上より,mが偶数のときdmは奇素数を約数にもたず,また4でも割り切れない。したがって dm は 1 または 2 である。

総評

難度7、計算量6。目安時間は25分前後で,(3)の素因数評価が山である。(1)(2)は文系第2問と共通なので,ここを短時間で確実に処理し,(3)に時間を残したい。奇素数pを消すには「dmがすべての二項係数を割る」ことの逆を使い,pで割り切れない二項係数を1つ作ればよい。2についても,mが2の累乗でない場合と2の累乗の場合を分ける。典型的なミスは,pqmを割る最大の累乗であることを使わず,分子分母の素因数の個数比較を曖昧にすることである。

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出典: 東京大学 2009年度 前期 数学(大学公式の問題PDF)。問題文はHTML表示のために再入力・数式組版しています。