Evolton

東京大学 2022年度 前期日程 第2次学力試験理系数学 第4問

座標平面上の曲線C:y=x3xを考える。

(1) 座標平面上のすべての点Pが次の条件(i)を満たすことを示せ。

(i) 点Pを通る直線lで,曲線Cと相異なる3点で交わるものが存在する。

(2) 次の条件(ii)を満たす点Pのとりうる範囲を座標平面上に図示せよ。

(ii) 点Pを通る直線lで,曲線Cと相異なる3点で交わり,かつ,
直線lと曲線Cで囲まれた2つの部分の面積が等しくなるものが存在する。

難易度8/ 10計算量6/ 10目安25

積分図形と方程式関数 存在証明、解と係数の関係、面積計算、微積分の対称性、軌跡

方針

任意の点を通る傾き m の直線を取り、曲線との差を三次式 F(x)=x3(m+1)x+mpq にする。(1)は m+1 を十分大きくし、三次式の極大値と極小値の符号が逆になることから3つの実根を作る。(2)は交点の x 座標を α<β<γ とし、三次式に x2 項がないので α+β+γ=0 を使う。等面積条件は符号付き積分が0であることに等しく、外側2根の中点 h=(α+γ)/2 を置くと h=0 が導かれる。最後に、根が t,0,t となる直線群を点の範囲に翻訳する。

解答

(1)
任意の点 P(p,q) をとる。P を通る傾き m の直線を y=m(xp)+q とする。この直線と曲線 C:y=x3x の交点の x 座標は x3x=m(xp)+q すなわち F(x)=x3(m+1)x+mpq=0 を満たす。 M=m+1 とおくと F(x)=x3Mx+(M1)pq である。M>0 のとき、F(x)=3x2M なので、F(x)x=±M3 で極値をとる。s=M/3 とおくとF(s)=s3+Ms+(M1)pq=2M3s+(M1)pq,F(s)=s3Ms+(M1)pq=2M3s+(M1)pq.ここで 2M3s=233M3/2 であり、(M1)pqM の1次式である。したがって M を十分大きくとれば F(s)>0,F(s)<0 が成り立つ。

また三次式 F(x) は最高次係数が正なので limxF(x)=,limxF(x)= である。よって中間値の定理より、(,s)(s,s)(s,) のそれぞれに F(x)=0 の解が少なくとも1つ存在する。三次方程式なので解はちょうど3つであり、互いに異なる。

したがって、点 P を通り、曲線 C と相異なる3点で交わる直線が存在する。

(2)
条件(ii)を満たす直線 l があり、lC の3交点の x 座標を α<β<γ とする。直線を y=ux+v と書くと、交点の x 座標は x3x=ux+v すなわち x3(u+1)xv=0 の3解である。この三次方程式には x2 の項がないので α+β+γ=0 である。

曲線と直線の差は、最高次係数を比べると x3x(ux+v)=(xα)(xβ)(xγ) である。区間 (α,β) ではこの値は正、区間 (β,γ) では負である。したがって2つの部分の面積が等しいことは αγ(xα)(xβ)(xγ)dx=0 と同値である。

ここで h=α+γ2,d=γα2>0 とおく。α+β+γ=0 より β=2h である。x=h+w とおくと、x=αw=dx=γw=d に対応し、(xα)(xβ)(xγ)=(w2d2)(w+3h) となる。よってαγ(xα)(xβ)(xγ)dx=dd(w2d2)(w+3h)dw=3hdd(w2d2)dw=3h(2d332d3)=4hd3.これが0で、かつ d>0 であるから h=0 である。したがって α+γ=0,β=0 である。

よって3交点の x 座標は、ある t>0 を用いて t,0,t と表される。この3点は曲線上の (t,t3+t),(0,0),(t,t3t) であり、これらを通る直線は y=(t21)x である。ここで t>0 なので傾き t21t21>1 を満たす。

逆に、傾き m>1 の原点を通る直線 y=mx をとると、m=t21 を満たす t>0 が存在し、上の議論により条件(ii)を満たす。

したがって条件(ii)を満たす点 P(x,y) の範囲は、傾きが 1 より大きい原点通過直線全体の和である。式で表すと {(x,y)x>0, y>x}{(x,y)x<0, y<x}{(0,0)} である。図示すると、境界直線 y=x は原点以外を含まず、x>0 側ではその上側、x<0 側ではその下側を塗る領域である。

別解

解法2

方針

(1) は点を通る直線の傾きを十分大きくし、交点三次式の極大・極小を異符号にする。(2)は3根 α<β<γ に対する符号付き全面積を根だけで直接計算し、等面積線が原点を通ることを示して、その直線族の通過範囲を図示する。

解答

(1)
任意の P(p,q) を通る直線 y=m(xp)+qC の交点はF(x)=x3(m+1)x+mpq=0の解である。M=m+1>0, s=M/3 とおくとF(s)=233M3/2+(M1)pq,F(s)=233M3/2+(M1)pq.M を十分大きくすれば前者は正、後者は負となる。両端での極限も合わせ、中間値の定理により3区間に相異なる3根をもつ。

(2)
3交点の x 座標を α<β<γ とするとα+β+γ=0.曲線と直線の差は (xα)(xβ)(xγ) であり、2面積が等しい条件はαγ(xα)(xβ)(xγ)dx=0である。展開して β=αγ を代入するか、外側2根の中点へ平行移動するとαγdx=14(α+γ)(γα)3.γ>α だから α+γ=0、さらに β=0 である。よって3根は t,0,t (t>0)、対応する直線はy=(t21)xで、その傾きは 1 より大きい。

したがって求める範囲は{x>0, y>x}{x<0, y<x}{(0,0)}.境界 y=xy 軸は原点以外を含まない。

総評

3交点の存在と等面積条件を同時に論証する重い問題。目安時間は25〜30分。駿台分析では約半数が0点、10点以上も約15%で、3実根条件と等面積条件の把握が分岐点。存在証明では M3/2 が一次項に勝つこと、図示では y=xy 軸を原点以外含めないことを明記する。

冊子PDFで見る東大の積分の問題で問題集を作る

出典: 東京大学 2022年度 第2次学力試験 数学(大学公式の問題PDF)。問題文はHTML表示のために再入力・数式組版しています。