問題
を原点とする座標空間において,不等式,,の表す立方体を考える。その立方体の表面のうち,を満たす部分をとする。
以下,座標空間内の2点,が一致するとき,線分は点を表すものとし,その長さを0と定める。
(1) 座標空間内の点が次の条件(i),(ii)をともに満たすとき,点が動きうる範囲の体積を求めよ。
(i)
(ii) 線分とは,共有点を持たないか,点のみを共有点に持つ。
(2) 座標空間内の点と点が次の条件(iii),(iv),(v)をすべて満たすとき,点が動きうる範囲の体積を求めよ。必要ならば,を満たす実数を用いてよい。
(iii)
(iv) 線分とは共有点を持たない。
(v) 線分とは,共有点を持たないか,点のみを共有点に持つ。
方針
解法1(標準解法)
上面 だけは に含まれないので,原点から直進できる範囲は,立方体全体と,上面を通って半径 の球内に出る部分である。(1) は球を6つの面方向に対称分割し,上面方向の球部分から立方体内の四角錐を引くと早い。(2) は で1回曲がれるため, に加えて上面の4本の辺を回り込む4つの合同な追加領域が現れる。1本の上辺について,その辺に垂直な平面で切った断面を考え,半径 ,中心角 の扇形面積を積分する。
別解(上辺まわりの最短路を展開する)
上面を出口とみなし,立方体の上辺を回り込む最短折れ線を,辺に垂直な断面で展開して一本の直線にする。辺方向の座標 を残すと,経路長条件は となる。追加断面は中心角 の扇形で,最後の円弧積分は三角置換で評価する。
解答
解法1(標準解法)
(1)
は立方体の表面から上面 を除いた部分である。したがって,線分 が立方体から外へ出る場合,最初に通る面が上面 であれば と交わらず,側面または底面であれば と 以外の点で交わってしまう。
よって は,立方体そのものと,原点中心・半径 の球のうち上面方向へ出る部分からなる。ただし,球の上面方向の部分には,立方体内の四角錐 も含まれるので,外へ出た部分だけを足すときはこの四角錐を引く。
原点から立方体の6つの面を見た領域は対称であり,半径 の球は6つの合同な部分に分けられる。したがって上面方向の球部分の体積は である。また,立方体内で上面を底面とする四角錐の体積は である。よって上面から外へ出る部分の体積は である。
立方体の体積は なので
である。
(2)
とすれば(iii),(iv),(v)は(1)の条件と同じになるので, である。以下, のうち に含まれない追加部分を求める。 で となる場合,線分 は と 以外の点で交わる。その最初の交点は側面4枚のいずれかにある。底面 へ向かう場合は,上面を経由して1回折れ曲がっても長さ 以内で底面の外側へ回り込めないので,追加領域は生じない。したがって,追加部分は上面の4本の辺を回り込む4つの合同な領域である。
そのうち,辺 を回り込む部分の体積を とする。 上の点を とし,平面 で断面を考える。この平面内で辺から外側への距離を とする。上辺を折れ目として経路を展開すると最短折れ線は直線になり,辺方向の座標も合わせた最短路長 は を満たす。したがって は と同値である。断面内で上辺の外側へ回り込める角度は である。したがってこの断面に現れる追加部分の面積は
である。
よって1本の上辺に対応する追加体積は
である。ここで
である。
また , とすると である。実際,これは半径 の円 の に対応する部分の面積であり,両側の直角三角形の面積 と中心角 の扇形面積 の和である。
したがって
である。
この追加領域は4本の上辺について合同で,互いに重ならない。よって
である。ただし である。
別解(上辺まわりの最短路を展開する)
(1)
立方体の内部から外へ直進するとき, を通らずに出られるのは上面 だけである。よって は立方体と,原点中心・半径 の球のうち上面方向に見える部分との和である。
球は立方体の6面方向に合同に分かれるので,上面方向の球部分は
この中に既に含まれる上面を底面とする四角錐の体積は である。したがって
(2)
である。新たに到達できるのは,上面から出たあと4本の上辺のいずれかを回り込む部分である。1本の上辺に沿う座標を とする。辺に垂直な断面では,原点側の断面中心から上辺までの距離は である。
辺を障害物の折れ目として断面を展開すると,最短折れ線は直線になる。辺から追加領域内の点までの断面距離を とすれば,辺方向も含めた最短路の長さ は
したがって は
と同値である。断面内で上辺の外側へ回り込める角度は なので,追加断面は半径 ,中心角 の扇形である。
ゆえに1本の上辺に対応する追加体積を とすると
展開して
と置き, とすれば
したがって
4本の上辺に対応する追加領域は合同で,内部は互いに重ならないから