方針
とおき,角度条件を空間ベクトルの内積で不等式に直す。条件(ii)ではからまずが必要になり,平方してを得る。条件(iii)ではを用い,条件(ii)で得たにより分子が正であることを確認してから平方する。最後は,扇形状の領域と楕円の共通部分から,角度が定義できない原点を除くと説明する。
解答
とおく。条件(i)より である。
条件(ii)について であるから,である。条件(ii)は なので,余弦の値について が成り立つ。右辺が負であるため,この不等式が成り立つにはでなければならない。そこで両辺を移項して とし,両辺が0以上であることを確認して平方する。すると より すなわち である。と合わせて を得る。
条件(iii)について である。したがってである。条件(ii)からが分かっているので,である。条件(iii)より であり,両辺は正なので平方してよい。平方すると である。これを整理すると すなわち となる。
以上より,求める範囲は を同時に満たす平面上の点全体から,原点を除いた部分である。図示すると,直線,に挟まれた上向きの領域と,中心の楕円 の内部との共通部分であり,境界は含む。ただし原点だけは条件(i)により除く。
したがって,求める範囲を実際に図示すると次の青色部分になる。
楕円と2直線の境界は含むが,原点だけは白丸で除外している。
総評
空間ベクトルの角条件を 平面上の不等式へ落とす図示問題。難度5,計算量5,想定時間18分。余弦不等式を平方する前に符号を確定することが最重要であり,(ii)から を得ることで が同値に導ける。(iii)は楕円内部となり,境界を含む一方で原点だけを除く。
【出典確認】 東京大学公式「令和6年度前期日程第2次学力試験・理科数学」PDF第4ページを原寸画像で照合し,,2つの角度条件,原点除外,図示指示を確認した。公式解答・採点講評は公表されていない。
【独立検算】 平面上の格子点を細分して,元の内積から計算した2角の条件と, の真偽を比較し,原点を除く全標本で一致した。境界 と楕円の上側交点が であることも図と式で確認した。