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東京大学 2026年度 前期日程 第2次学力試験理系数学 第4問

k を実数とし,座標平面上の曲線C:y=x3kxを考える。C 上の2点 P,Q が次の条件 () を満たすとする。

()O(0,0),P,Q は相異なる3点であり,O,P,Q における C の接線は,どの2本も交わり,交わる角のうち小さい方の角がすべて π3 である。

(1) 条件 () を満たす2点 P,Q が存在するような k の範囲を求めよ。

(2) (1) で求めた範囲の k に対して,条件 () を満たす2点 P,Q が動くとき,O,P,Q における C の接線で囲まれる三角形の面積を S とする。ただし,3本の接線が1点で交わる場合は S=0 とする。S の最大値を M,最小値を m とするとき,M=4m となる k の値を求めよ。

難易度8/ 10計算量7/ 10目安28

三角関数微分図形と方程式 接線・法線三角比の利用、パラメータ処理、面積計算、場合分け

方針

接線の傾きを方向角で管理する。曲線 y=x3kxx=t における接線の傾きは 3t2k,原点での傾きは k である。他の2点の傾きは k 以上なので,3本の方向角を θ,θ+π/3,θ+2π/3 と置くと,原点の接線が最小の方向角に対応する。存在範囲を決めたあと,原点の接線を基準に面積公式を作り,接点の正負によって生じる最大値・最小値を比較する。

解答

(1)
曲線 C:y=x3kx の導関数は y=3x2k である。したがって,x=t における接線は y(t3kt)=(3t2k)(xt) すなわち y=(3t2k)x2t3 である。この接線の傾きは 3t2k である。特に原点 O における接線の傾きは k である。

条件 () より,3本の接線のどの2本もなす小さい方の角が π/3 である。直線の方向角を (π/2,π/2) の範囲でとれば,3本の方向角は小さい順に θ,θ+π3,θ+2π3 と書ける。ただし3つとも (π/2,π/2) に入る必要があるので π2<θ<π6 である。

原点以外の点での傾きは 3t2k であり,これは常に k 以上である。したがって,最小の傾きに対応するのは原点の接線であり,k=tanθ でなければならない。上の θ の範囲から tanθ<13 であるから,必要条件として k>13 を得る。

逆に k>1/3 とする。このとき k=tanθ を満たす θ をとると,π/2<θ<π/6 である。そこでb=tan(θ+π3),c=tan(θ+2π3)とおくと,k<b<c である。したがって 3p2k=b,3q2k=c を満たす実数 p,q が存在する。b,c>k なので p,q0 であり,また bc から pq である。よって接点 P,Q は原点とも互いとも異なる。3本の方向角は上で定めた通りであるから,どの2本の接線もなす角が π/3 となり,条件 () を満たす。

したがって求める k の範囲は k>13 である。

(2)
以下,k>1/3 とする。原点の接線の傾きを a=k とおき,またb=tan(θ+π3),c=tan(θ+2π3)とする。ただし a=tanθ である。さらに A=ba,D=ca とおく。このとき 0<A<D である。

傾き b に対応する接点の x 座標を p とすると,3p2k=b であるから 3p2=A であり,p=εA3(ε=±1) と書ける。同様に,傾き c に対応する接点の x 座標を q とすると q=δD3(δ=±1) と書ける。

原点の接線は y=ax である。p における接線は y=(a+A)x2p3 であり,q における接線は y=(a+D)x2q3 である。ここで Y=yax とおくと,面積は変わらず,3直線は Y=0,Y=Ax+u,Y=Dx+v となる。ただしu=2p3=2εA3/233,v=2q3=2δD3/233である。

直線 Y=Ax+uY=0 の交点の x 座標は uA=2εA33 であり,直線 Y=Dx+vY=0 の交点の x 座標は vD=2δD33 である。したがって底辺の長さは 233δDεA である。

また,2本の斜めの直線の交点の Y 座標はuDAvDA=2AD(δDεA)33(DA)であるから,高さはその絶対値である。よって面積 SS=12233δDεA2AD33(DA)δDεAすなわち S=2AD27(DA)(δDεA)2 である。 ε,δ の符号が同じとき S=2AD27(DA)(DA)2 であり,符号が異なるとき S=2AD27(DA)(D+A)2 である。したがって最小値 m と最大値 M はそれぞれm=2AD27(DA)(DA)2,M=2AD27(DA)(D+A)2である。

条件 M=4m(D+ADA)2=4 と同値である。0<A<D より分母は正なので,D+ADA=2 であり,D+A=2D2A より 3A=D すなわち D=9A を得る。

最後に D/Ak で表す。a=k として,(1)の公式を用いると b=k+31+3k であるから A=ba=b+k=3(1+k2)1+3k である。また c=tan(θ+2π3)=k+33k1 であるから D=ca=c+k=3(1+k2)3k1 である。したがって DA=1+3k3k1 である。条件 D=9A より 1+3k3k1=9 であり,これを解くと 1+3k=93k9 だから 10=83k である。よって k=543 である。この値は 1/3 より大きいので,(2)の存在範囲にも含まれる。

総評

難度8/10、計算量7/10。想定時間は28分。3本の方向角を π/3 間隔で並べ、傾きの最小値 k を原点の接線に対応させることが存在条件の核心である。面積では Y=y+kx とせん断し、A=ba, D=ca を導入すると、接点の正負による4通りが (DA)2 の2値へ整理される。採点上は k>1/3 の十分性として相異なる非零の接点を実際に選べること、最大・最小の比較で全符号を尽くすこと、最後に求めた k が存在範囲内であることを確認したい。典型的な失点は方向角を通常の大小関係だけで扱うことと、接線の切片 2t3 の符号ミスである。別解として交点3個を直接求める方法もあるが計算量が大きく、本解の面積公式が安定する。難問なので、(1)の存在範囲を完答した後、面積比の式までを部分点の目標にするとよい。

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出典: 東京大学 2026年度 第2次学力試験 数学(大学公式の問題PDF)。問題文はHTML表示のために再入力・数式組版しています。