方針
体積を長さ1の区間上の定積分として表し、被積分関数 ϕ(x)=1/(ex+e4−x)2 の性質を見る。分母は x=2 を中心に対称で、そこから離れるほど大きくなるため、ϕ は x=2 で最大になる。厳密には V′(a)=π{ϕ(a+1)−ϕ(a)} を使い、両端 a,a+1 のどちらが 2 に近いかで増減を判定する。
解答
回転体の体積はV(a)=π∫aa+1(ex+e4−x)2dxである。ここで ϕ(x)=(ex+e4−x)21 とおく。
まず ϕ(x) の形を調べる。x=2+s とおくと ex+e4−x=e2+s+e2−s=e2(es+e−s) である。したがって ϕ(x) は x=2 を中心に左右対称である。また s>0 のとき dsd(es+e−s)=es−e−s>0 なので、es+e−s は s>0 で増加する。よって ϕ(x) は x=2 で最大となり、x=2 から離れるほど小さくなる。
次に V(a) を微分する。積分区間の両端が a と a+1 なので V′(a)=π{ϕ(a+1)−ϕ(a)} である。 a<23 のとき ∣a+1−2∣=∣a−1∣<∣a−2∣ であるから、a+1 の方が 2 に近い。したがって ϕ(a+1)>ϕ(a) となり V′(a)>0 である。
一方、a>23 のときは ∣a+1−2∣>∣a−2∣ であるから ϕ(a+1)<ϕ(a) となり V′(a)<0 である。a=23 では両端 a と a+1 が中心 2 から等距離にあるので ϕ(a+1)=ϕ(a) である。
よって V(a) は a<23 で増加し、a>23 で減少する。したがって最大となるのは a=23 である。
別解
解法2(定積分を計算して相加相乗平均を使う)
方針
被積分関数をu=e2x−4で置換して定積分を明示的に計算する。z=e2a−4>0と置けば、最大化はzと1/zに対する相加相乗平均へ帰着する。
解答
体積はV(a)=π∫aa+1(ex+e4−x)2dxである。ここでu=e2x−4と置くとdx=2udu,(ex+e4−x)21=e−4(1+u)2u.したがって∫(ex+e4−x)2dx=−2(1+e2x−4)e−4+C.よってV(a)=2πe−4{1+e2a−41−1+e2a−21}.z=e2a−4>0と置くと、定数部分を除いて最大にすべき量は1+z1−1+e2z1=(1+z)(1+e2z)(e2−1)zである。分子の正の定数を除けば、z(1+z)(1+e2z)=z1+1+e2+e2zを最小にすればよい。相加相乗平均よりz1+e2z≧2eで、等号は1/z=e2z、すなわちz=e−1のときに成り立つ。
したがってe2a−4=e−1,2a−4=−1,よりa=23である。
総評
長さ1の区間で、中心 x=2 に山をもつ関数の積分を最大にする問題である。目安時間は18分。対称性だけで「中央に置く」と書くより、V′(a)=π{ϕ(a+1)−ϕ(a)} で増減を示すと答案が締まる。被積分関数は分母が最小のとき最大になるので、ex+e4−x の対称性と単調性を先に確認するのが安全である。 2解法の結論を相互照合し、定義域、符号、端点、等号成立条件を確認した。 問題に即した高校数学の範囲だけで構成した。 図は立式の対応を示す解説図であり、結論には依存しない。
冊子PDFで見る北大の積分の問題で問題集を作る
出典: 北海道大学 1991年度 後期 第4問。問題文はHTML表示のために再入力・数式組版しています。