方針
床関数の基本不等式 [nc]≦nc<[nc]+1 を使い、[nc]/c を n の直前から n までの範囲に入れる。有理数の場合は、分母を掛けることで nc が整数になる n を作る。無理数の場合は、任意の自然数 n で nc が整数にならないため、上端 an=n が起こらないことを示す。
解答
(1)
床関数の定義より [nc]≦nc<[nc]+1 である。これを nc−1<[nc]≦nc と書き直す。c>1 なので、正の数 c で割って n−c1<c[nc]≦n を得る。すなわち n−c1<an≦n である。c>1 より 0<1/c<1 だから n−1<an≦n である。したがって [an] は n−1またはn に等しい。
(2) c が有理数であるとする。c=r/s と既約分数で表す。ただし r,s は正の整数である。n=s と取ると nc=s⋅sr=r は整数である。したがって [nc]=nc であり、an=c[nc]=cnc=n となる。よって [an]=n となる n が存在する。
(3) c が無理数であるとする。任意の自然数 n について、もし nc が整数なら c=nnc は有理数になってしまう。これは仮定に反する。したがって nc は整数ではない。
よって [nc]<nc であるから an=c[nc]<n である。一方、(1)の途中で得た不等式より n−1<an である。したがって n−1<an<n となるので [an]=n−1 である。
別解
解法2
方針
小数部分 {nc}=nc−[nc] を導入すると an=n−{nc}/c と一行で表せる。有理数なら小数部分を0にでき、無理数なら0にならない、という同じ式から3問を統一的に示す。
解答
{x}=x−[x](0≦{x}<1)と書く。このときan=c[nc]=cnc−{nc}=n−c{nc}.(1)
0≦{nc}<1 かつ c>1 なのでn−1<an≦n.よって [an] は n−1 または n である。
(2)
c=r/s を既約分数とする。n=s とすれば nc=r は整数だから {nc}=0。したがって an=n で、[an]=n となる。
(3)
c が無理数なら、自然数 n に対して nc は整数にならない。ゆえに0<{nc}<1であり、n−1<an<n.したがってすべての n で [an]=n−1 である。
総評
床関数と有理・無理の違いを扱う論証問題で、想定時間は20分程度。中心は n−1<an≦n という狭い範囲に押し込むことである。有理数の場合は nc が整数になる n を作る、無理数の場合は nc が絶対に整数にならない、という対比を答案上ではっきり書くとよい。
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出典: 北海道大学 1997年度 前期 理系 第1問。問題文はHTML表示のために再入力・数式組版しています。