方針
an は「3が一度も出ない」余事象で求める。bn は積が4の倍数でない場合、つまり因数2の個数が0個または1個だけの場合を数える。比較では得た式を整理して 2(3/2)n>n+2 に変形し、問題の指定どおり数学的帰納法で示す。帰納段階では両辺を 3/2 倍したとき、(3/2)(n+2)>n+3 となることを使う。
解答
(1)
積が3の倍数でないのは、n 回の記録の中に3が一度も出ない場合である。1回で3以外が出る確率は 3/4 なのでP(3が一度も出ない)=(43)nである。したがって an=1−(43)n である。
次に bn を求める。積が4の倍数でないのは、積に含まれる因数2の個数が0個または1個の場合である。カード1と3は因数2を含まず、カード2は因数2を1個、カード4は因数2を2個含む。
因数2が0個の場合は、毎回1または3が出る場合であり、確率は (21)n である。因数2が1個の場合は、ちょうど1回だけ2が出て、残りは1または3が出る場合である。したがって確率はnC1⋅41(21)n−1=2n+1nである。
よって積が4の倍数でない確率は 2n1+2n+1n=2n+1n+2 である。したがって bn=1−2n+1n+2 である。
(2)
(1) の結果より、bn>an は 1−2n+1n+2>1−(43)n と同値である。整理すると (43)n>2n+1n+2 であり、両辺に 2n+1 を掛けると 2(23)n>n+2 となる。
この不等式を n≧2 で帰納法により示す。n=2 では 2(23)2=29>4 であり、成り立つ。
ある n≧2 で 2(23)n>n+2 が成り立つと仮定する。このとき2(23)n+1=23⋅2(23)n>23(n+2)である。さらに 23(n+2)−(n+3)=2n>0 だから 2(23)n+1>n+3 である。よって帰納法により、すべての n≧2 で bn>an が成り立つ。
別解
解法2
方針
積に含まれる素因数2の個数を状態0・状態1・状態2以上に分ける。状態0と状態1の確率に漸化式を立てて bn を求める。最後の大小比較は問題の指定どおり同じ帰納命題へ帰着する。
解答
(1)
3を一度も引かない確率は (3/4)n なのでan=1−(43)n.積に含まれる素因数2の個数が0個である確率を un,ちょうど1個である確率を vn とする。0個のままであるには毎回1または3を引く必要があるからun=(21)n.最後の1回で状態1になる方法を分けるとvn+1=21vn+41un,v1=41.この漸化式へ un=2−n を代入し,帰納法でvn=2n+1nを得る。積が4の倍数でないのは状態0または状態1なのでbn=1−un−vn=1−2n+1n+2.(2)
bn>an は2(23)n>n+2と同値である。n=2 では左辺は 9/2 で,右辺4より大きい。
n≧2 で成立すると仮定すると,2(23)n+1>23(n+2).しかも23(n+2)−(n+3)=2n>0だから,n+1 の場合も成立する。よって数学的帰納法により,すべての n≧2 で bn>an である。
総評
難度5,計算量5,想定時間18分。an=1−(3/4)n,bn=1−(n+2)/2n+1。4の倍数でない積を,素因数2の個数が0または1の場合に正確に分ける。帰納法では命題を 2(3/2)n>n+2 に整理してから始める。
冊子PDFで見る北大の確率の問題で問題集を作る
出典: 北海道大学 2000年度 前期 文系 第2問(大学公式の問題PDF)。問題文はHTML表示のために再入力・数式組版しています。