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熊本大学 2017年度 前期 医学科理系数学 第4問

n2以上の自然数とする.1から2nまでの自然数の順列a1a2a2nに対して,分数の和a1an+1+a2an+2++ana2nを考える.1から2nまでの自然数のすべての順列に対してこの和がとり得る値の最大値をSnとする.以下の問いに答えよ.

(問1)
S2を求めよ.

(問2)
Snを与える順列a1a2a2nの例を1つ挙げ,その理由を述べよ.

(問3)
limnSnnlognを求めよ.

難易度8/ 10計算量6/ 10目安25

数列方程式・不等式論証・証明 不等式評価数え上げ対称性の利用、計算整理

方針

まず,分子側に小さい数,分母側に大きい数があるなら,その2数の役割を入れ替えると和が増えることを示し,最大では分子がn+1,,2n,分母が1,2,,nであることを導く。次に,分子が大きいものほど分母が小さいものと組むと和が増えることを交換で示す。これによりSn=(2n+1)k=1n1/knを得て,最後は調和和とlognの比較で極限を求める。

解答

(問1)
n=2 のとき,1,2,3,4 を用いる。最大にするには,大きい数を分子,小さい数を分母にし,さらに大きい分子を小さい分母と組にすればよい。したがってS2=41+32=112である。

(問2)
次の順列を考える。a1=2n,a2=2n1,,an=n+1,an+1=1,an+2=2,,a2n=nこのときSnk=1n2n+1kkである。

これが最大であることを示す。ある順列で,分子側にある数 p と分母側にある数 qp<q を満たすとする。p が分子である項を pdq が分母である項を cq とする。pq の位置を入れ替えると,この2項はqd+cpになる。その増加分はqpd+c(1p1q)>0である。よって最大のとき,分子側の数はすべて分母側の数より大きい。したがって分母側は 1,2,,n,分子側は n+1,n+2,,2n でなければならない。

次に,分子 x>y が分母 u>v とそれぞれ組になっているとする。この2組を入れ替えるとxv+yu(xu+yv)=(xy)(1v1u)>0である。したがって最大では,大きい分子ほど小さい分母と組む。よって上に挙げた順列が Sn を与え,Sn=k=1n2n+1kk=(2n+1)k=1n1knである。

(問3)Hn=k=1n1k とおく。(問2)よりSnnlogn=2n+1nHnlogn1lognである。ここで log は自然対数である。

1/x のグラフと面積を比較すると1ndxxHn1+1ndxxであるから1Hnlogn1+1lognである。したがってlimnHnlogn=1である。よってlimnSnnlogn=2である。

別解

解法2

方針

分子集合と分母集合の分離,および組合せの順序を,隣接交換による並べ替え不等式として整理する。最大値を調和数で表した後,積分比較で極限を挟む。

解答

(問1)
分子には大きい2数,分母には小さい2数を置き,大きい分子を小さい分母と組ませるのでS2=41+32=112である。

(問2)
最大となる例として(a1,,an)=(2n,2n1,,n+1),(an+1,,a2n)=(1,2,,n)をとる。

実際,分子側のpと分母側のqp<qなら,両者を交換したときの増分はqpd+c(1p1q)>0である。よって最大時の分子集合は{n+1,,2n}である。

さらにx>y, u>vに対してxv+yuxuyv=(xy)(1v1u)>0だから,大きい分子と小さい分母を組ませるのが最大である。したがってSn=k=1n2n+1kk=(2n+1)Hnn,Hn=k=1n1kである。

(問3)
積分比較lognHn1+lognよりHn/logn1である。したがってSnnlogn=(2+1n)Hnlogn1logn2である。

総評

難度8,計算量6。想定時間は25分程度。最大化の本質は交換による不等式であり,分子集合を大きい数,分母集合を小さい数に分ける段階と,その後の組み合わせの段階を分けて証明する必要がある。(問3)は Sn の式が出れば,調和和と自然対数の標準的な比較で処理できる。位置づけは差がつく難問であり,前半を確保したうえで時間次第では後半を見送り候補にする。

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出典: 熊本大学 2017年度 前期 数学(大学公式の問題PDF)。問題文はHTML表示のために再入力・数式組版しています。