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熊本大学 2023年度 前期数学③ 第4問

平面上の2つの円が直交するとは,2つの円が2点で交わり,各交点において2つの円の接線が互いに直交することである.以下の問いに答えよ.
(問1) C1,C2は半径がそれぞれr1,r2の円とする.C1の中心とC2の中心の間の距離をdとする.C1C2が直交するための必要十分条件をd,r1,r2の関係式で表せ.
(問2) p,r1,r2p>r1+r2,r1>0,r2>0を満たす実数とする.座標平面上において,原点Oを中心とする半径r1の円をC1,(p,0)を中心とする半径r2の円をC2とする.C1C2のいずれにも直交する円の中心の軌跡を求めよ.
(問3) 互いに外部にある3つの円の中心が一直線上にないとき,それら3つの円のいずれにも直交する円がただ1つ存在することを示せ.

難易度6/ 10計算量5/ 10目安18

図形と方程式論証・証明 円の性質軌跡必要十分条件座標設定

方針

直交する2円では交点に引いた半径がそれぞれ接線に垂直であるため,中心と交点でできる三角形に三平方の定理を使う。(問2)は未知の中心と半径をおいて2つの直交条件を引き算し,中心の x 座標を決める。(問3)は3円に対する同じ条件の差を2本の一次方程式として解き,半径が正になることを2円の外部条件から確認する。

解答

(問1)
交点の一つを XC1,C2 の中心をそれぞれ O1,O2 とする。交点における接線が直交することは,半径 O1XO2X が直交することと同値である。したがって直角三角形 O1XO2 に三平方の定理を用いてd2=r12+r22が必要十分条件である。

(問2)
求める円の中心を (x,y),半径を r とする。C1 と直交する条件はx2+y2=r2+r12であり,C2 と直交する条件は(xp)2+y2=r2+r22である。両式を引くと2px+p2=r22r12であるからx=p2+r12r222pである。逆にこの直線上の任意の点を中心にとれば,r2=x2+y2r12 として半径を定められる。実際,p>r1+r2 よりp2+r12r222p>r1であるから r2>0 である。したがって中心の軌跡は直線x=p2+r12r222pである。

(問3)
3つの円の中心を Oj=(xj,yj),半径を rj (j=1,2,3) とする。求める円の中心を X=(x,y),半径を r とすれば,直交条件はXOj2=r2+rj2(j=1,2,3)である。j=2,3 の式から j=1 の式を引くと,x,y についての2本の一次方程式が得られる。3つの中心は一直線上にないので,この2本の直線は平行でなく,交点 X はただ1つに定まる。

あとは半径が正であることを確かめる。円 1 と円 2 は外部にあるので,中心間距離を d とすれば d>r1+r2 である。円 1 と円 2 に対する等べき線上の点は,中心線上の足が円 1 の中心からd2+r12r222dだけ離れた位置にある。この値は r1 より大きい。したがって,その等べき線上にある点 X は円 1 の外部にあり,r2=XO12r12>0である。よってこの X を中心とし半径 r の円が3つの円すべてに直交する。中心も半径も一意に定まるから,そのような円はただ1つ存在する。

別解

解法2(座標を正規化して一意性を示す)

方針

3円の中心のうち2点を x 軸上に置き、未知円の中心・半径に対する直交条件を座標で引き算する。最初の2円から x 座標、第3円から y 座標が一意に決まることと、外部条件から半径が正になることを同時に確認する。

解答

(問1)
交点 T で2円の半径はそれぞれ相手の接線と平行になる。よって接線が直交することと O1TO2=90 は同値であり、d2=r12+r22が必要十分条件である。

(問2)
未知円の中心を (x,y)、半径を ρ とするとx2+y2=ρ2+r12,(xp)2+y2=ρ2+r22.差をとってx=p2+r12r222pを得る。さらに p>r1+r2 よりこの値は r1 より大きいので、任意の y に対して
ρ2=x2+y2r12>0 である。したがって軌跡は上の直線全体である。

(問3)
座標を回転・平行移動して、3円の中心をO1=(0,0),O2=(d,0),O3=(u,v)(v0)とする。半径をそれぞれ r1,r2,r3、未知円の中心を (x,y)、半径を ρ とする。直交条件は{x2+y2=ρ2+r12,(xd)2+y2=ρ2+r22,(xu)2+(yv)2=ρ2+r32.第2式と第1式の差からx=d2+r12r222dが一意に定まり、第3式と第1式の差は v0 なので y を一意に定める。さらに d>r1+r2 より x>r1 であり、ρ2=x2+y2r12>0.よって実在する円の中心と半径がともに一意に定まり、そのような円はただ1つ存在する。

総評

難度6,計算量5。想定時間は18分程度。直交条件を d2=r12+r22 に落とす発想がすべての小問の基礎になる。(問3)は一次方程式による一意性だけでなく,得られた半径が実際に正になることまで述べるのが採点上重要である。位置づけは差がつく標準問題であり,方針を早く固めて計算ミスなく完答したい。

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出典: 熊本大学 2023年度 前期 数学③(大学公式の問題PDF)。問題文はHTML表示のために再入力・数式組版しています。