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京都大学 1990年度 前期日程 第2次学力試験理系数学 第3問

行列A=(abcd)で表わされる1次変換をf
B=(acbd)で表わされる1次変換をgとする.

(1) どんなベクトルuvに対しても,
内積の間にf(u)v=ug(v)の関係が成り立つことを示せ.

(2) fが原点Oを通る直線lをそれ自身にうつすとする.
l上にOと異なる点Pをとり,Pfによる像をQgによる像をRとする.
このとき,次の(イ)(ロ)のいずれかが成り立つことを示せ.

(イ) Q=R

(ロ) 3点QROは直角三角形の頂点となる.

難易度6/ 10計算量4/ 10目安22

行列ベクトル 内積の利用ベクトル成分計算図形的解釈

方針

(1)fg を成分で書き、内積を直接展開して同じ式になることを確認する。(2) は P の位置ベクトルを pQ,R の位置ベクトルをそれぞれ q,r とおく。Q が直線 l 上にあるので qp と平行であり、(1) から (rq)p=0 を得る。Q=R でなければ、QRQO が垂直になることを示す。

解答

(1) u=(x,y)v=(s,t) とおく。このとき f(u)=(ax+by,cx+dy) であるから f(u)v=(ax+by)s+(cx+dy)t である。一方 g(v)=(as+ct,bs+dt) より ug(v)=x(as+ct)+y(bs+dt) である。右辺を展開するとどちらも axs+bys+cxt+dyt となるので、f(u)v=ug(v) が成り立つ。

(2) p=OPq=OQr=OR とおく。Pl 上にあり、f は直線 l をそれ自身に移すので、Ql 上にある。したがって q=λp と書ける。また、ここでいう「それ自身に移す」は直線全体が再び同じ直線になるという意味なので、PO に対して QO である。

(1)u=pv=p に用いると f(p)p=pg(p) すなわち qp=pr である。よって (rq)p=0 となる。

もし Q=R なら (イ) が成り立つ。QR とする。このとき rq=QRp に垂直である。一方、qp と平行で、しかも q0 である。したがって QRQO となり、3点 Q,R,OQ を直角の頂点とする直角三角形の頂点である。よって (ロ) が成り立つ。

別解。直交座標の一方の軸を直線 l に合わせて考えてもよい。この座標では P=(p,0)p0 とおける。lf によって同じ直線に移るので、行列 A の第1列は (λ,0) の形である。したがって Q=(λp,0) である。一方、BA の行と列を入れかえた行列なので、ある数 μ を用いて R=(λp,μp) と書ける。μ=0 なら Q=R で (イ) が成り立つ。μ0 なら OQ は横方向、QR は縦方向で互いに垂直だから、(ロ) が成り立つ。

総評

難度6、計算量4。成分計算で得た内積の関係を、直線上の平行関係と垂直関係に読み替える問題である。想定時間は22分程度。(2) では、qp に平行で、rqp に垂直という二つの事実を混同しないことが大切である。Q=R の場合を先に分け、そうでない場合だけ直角三角形を作ると、論理の抜けが少ない。

冊子PDFで見る京大の行列の問題で問題集を作る

出典: 京都大学 1990年度 前期 数学(大学公式の問題PDF)。問題文はHTML表示のために再入力・数式組版しています。